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本の紹介「サイチョウ」

「サイチョウ 熱帯の森にタネをまく巨鳥」北村俊平著、東海大学出版会、2009年11月、ISBN978-4-486-01841-4、2000円+税


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【和田岳 20100225】【公開用】
●「サイチョウ」北村俊平著、東海大学出版会

 何にも知らずにタイの熱帯林でのサイチョウ研究に飛び込んだ著者の苦労と喜びがつづられた一冊。サイチョウがどんな鳥か、著者がどんな研究をしたのかも紹介されるが、むしろ読みどころは、タイの熱帯林のようす、研究生活の雰囲気、著者が何を考えて、どのような調査を展開していったか。論文には載らない、テレビでもまず紹介されない、臨場感あふれる情報が盛りだくさん。一番おもしろいのは、随所にはさまれまくっているコラムかもしれない。
 森の中でゾウと出会った話。ホエジカを丸のみしたアミメニシキヘビは数日間同じ場所に転がっている話。著者の研究内容は忘れたが、そんなエピソードは忘れられない。

 お薦め度:★★★  対象:研究者になりたい人、熱帯の生物に興味のある人

【萩野哲 20100211】
●「サイチョウ」北村俊平著、東海大学出版会

 このシリーズの出版目的は“研究者が自身の体験談を踏まえ、その楽しさ、苦労、醍醐味など研究者でしか得られない自然界やフィールドの魅力を伝えていく”こととされており、本書もその意味で熱帯の体験談が興味深い。ただ、本書の表題の“サイチョウ”に関しては、その内容はサイチョウPJの紹介と著者の種子散布研究の体験談中心になっており、全体の紙数に占める割合も少なく、“サイチョウ”ってどんな鳥?という内容を期待した読者にはいささか物足りないのではなかろうか。

 お薦め度:★★★  対象:将来熱帯生物の研究者になりたい人、あるいは現場研究の一端に触れたい人

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