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本の紹介「サンゴとサンゴ礁のはなし」

「サンゴとサンゴ礁のはなし 南の海のふしぎな生態系」本川達雄著、中公新書、2008年6月、ISBN978-4-12-101953-0、840円+税


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【萩野哲 20080812】【公開用】
●「サンゴとサンゴ礁のはなし」本川達雄著、中公新書

 サンゴとサンゴ礁についての包括的解説書。サンゴとサンゴ礁について一般的疑問に答えるべく、Q&A形式で各々1章を充てている。その後は、より詳しい内容を、褐虫藻との共生、サンゴの進化、サンゴを棲家とする動物、サンゴ礁の魚類、そしてやはり保全について解説している。中でも、褐虫藻については、エネルギー収支、分類の進歩等、知りたい内容が網羅されているし、サンゴ以外との関係についても多くのページが割かれている。サンゴ礁の危機についてはや白化現象とオニヒトデ問題が挙げられている。保全については、まずサンゴ礁にダイビングに行きましょうと説く。では、行かなければ。

 お薦め度:★★★  対象:サンゴ礁の自然とその保護に興味を持つ人

【高田みちよ 20081022】
●「サンゴとサンゴ礁のはなし」本川達雄著、中公新書

 前半はサンゴのQ&Aとしてサンゴの体の作りや行き方など基本的なことを説明。サンゴは褐虫藻との共生関係を説明する。褐虫藻はサンゴの中に住んでおり、サンゴの出す二酸化炭素と老廃物から光合成を行い、光合成産物と酸素をサンゴに供給する相利共生を行っている。つまり、サンゴと褐虫藻はどちらもエサを探す必要がなく、光合成ができるように、樹木のように枝を広げていけばいい。動物なのに藻類と共生することにより植物的になっているとは驚き。そしてサンゴの白化現象とは褐虫藻が抜ける現象で、暑すぎたり、光合成ができなくなったりすると、サンゴが褐虫藻を吐き出すらしい。つまり白化とは死んで白くなったわけではなく、一時的に共生関係を解除しただけなので、
条件がよくなれば再び褐虫藻を取り込んで元にもどるらしい。驚き。
 後半にはサンゴの置かれている現状として、温暖化や富栄養化による危機的状況を紹介し、最後に読者に対して沖縄で本当の豊かさを考え、ダイビングして観光を推進し、サンゴを保護を推進するようくくっている。
 そしてやっぱり本川達雄らしく、サンゴの歌が譜面付きで載っている。

 お薦め度:★★★  対象:サンゴの好きな人、海の好きな人、温暖化を考える人

【和田岳 20080815】
●「サンゴとサンゴ礁のはなし」本川達雄著、中公新書

 歌う生物学者として有名な著者による「サンゴ礁はやわかり」(あとがきより)。前半の大部分は、サンゴやサンゴ礁についてのQ&Aになっていて、思いつく疑問にはたいてい答えてくれる。通しで読むとちょっとイライラするが、ちょっとした疑問の答えを探すにはちょうどいいかも。後半は、共生をキーワードに、サンゴとサンゴ礁の生き物の暮らしが紹介される。サンゴと褐虫藻、さらには貝までも巻き込んだ共生はとても面白い。最後は、サンゴ礁の危機と保全の話。オニヒトデから地球温暖化まで、さまざまな危機がサンゴ礁に迫っているらしい。
 本の最後には例によって歌の歌詞と楽譜が載っている。今回は英語の歌詞付き。題して「サンゴのタンゴ」。よかったら謳ってあげてね。

 お薦め度:★★★  対象:サンゴ礁または共生関係に興味のある人

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