友の会読書サークルBooks

本の紹介「生物と無生物の間 ウィルスの話」

「生物と無生物の間 ウィルスの話」川喜田愛朗著、岩波新書、1956年7月、ISBN978-4-00-416087-8、740円


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【六車恭子 20170705】
●「生物と無生物の間 ウィルスの話」川喜田愛朗著、岩波新書

 現代社会では流行語にもなっている病原体としてのウイルスについて私たちはどれくらい知っているだろうか。ウィルスは恐ろしく伝播力の強い病の外来性の感染源であり、顕微鏡にも写らず、細菌用濾過器でも確認できない微小な存在です。しかしウイルスがひとたび生きた細胞に取りつくと、強い伝播力で猛威を奮う恐ろしい感染源です。20世紀にその存在が発見されて、その定量化の発見、偏執的な細胞寄生者であることを突き止め、ウイルスの定義に奔走した科学者たちの精進された軌跡をたどることが出来る本! しかしこれは1956年に川喜田氏が最前線を伝えた労作、半世紀後の今、またその後を書き継ぐ研究者がいるだろう! 「ウィルス現象は生物の歴史の上では現代史、といって悪ければ少なくとも近代史に属する出来事の一つと考えるのが妥当」、という氏の言葉が読後に心にのこる!

 お薦め度:★★★★  対象:病の由来に興味のある人


[トップページ][本の紹介][会合の記録]