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本の紹介「生態系を蘇らせる」

「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス、2001年5月、ISBN4-14-001916-6、920円+税


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【寺島久雄 20040207】【公開用】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 長い歴史の中で自然淘汰による進化した自然は、現在ヒトの活動で健全な生態系と生物多様性を喪失しつつある。
 グランドキャニオン・ダムや霞ヶ浦等で行われている生態系の復元の状況は、現実に多くの困難なる問題点と方法論が述べられている。
 日本列島の豊かな自然と生物の多様性の保全と復元には、市民、行政、企業、研究者の協働が最も必要だとして、生活と科学技術にかんする思想の転換を希う一研究者のメッセージである。

 お薦め度:★★  対象:環境問題に関心のある人に

【魚住敏治 20040226】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 昨今、色々な団体による保全活動が全世界で行われ、多方面にその影響が出て来ています。本書は、そのような活動の在り方をもう一度考え直すのに絶好の叩き台となります。
 筆者は経済優先の自然利用や、単純な生態学理論が、いかに自然荒廃をもたらすかを、過去の事例をあげて論じています。そののちに、そこから導き出された、ヒトが生態系の一要素であるという認識のもとに健全な生態系のための「生態系管理」の在り方という概念に言及しています。最後にその実施例として、霞ヶ浦の水辺の再生の試みを揚げ、生態系が切りひらく未来を展望しています。

 お薦め度:★★★  対象:高校生以上

【早川友康 20040226】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 ラスベガスで大量に浪費されるエネルギー資源とロッキー山脈山中のゴーストタウンでの質素ながらも無駄のない文化的で心豊かな生活が対照的に紹介され、エネルギー資源の使い方を考えさせられる。ヒトの活動によって生態系が破壊され、ヒトがそのしっぺ返しを受けたことをイースター島等を例に紹介し、同じことを地球規模で繰り返さないように訴えている。
 健全な生態系を維持することは人類の生存にとっても欠かせないことで、それを実現するための手段としての境働を紹介している。協働が実現された事例として霞ヶ浦のアサザ群落の再生事業を取り上げ、その簡単な仕組みを紹介している。
 また筆者は明るい未来を切り開く三種の神器として「ヒト特有の知性」「子孫を思う心」「協働を楽しみとする心」をあげ、環境問題の解決に取り組むよう訴えている。

 お薦め度:★★  対象:環境問題に興味がある人

【六車恭子 20040227】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 「生態系」という学問が20世紀の巨大な消費社会の反省から生まれた学問であり、これで切り開かれる未来に著者が希望を見い出したいきさつをのベたもの。イースター島や白亜のギリシャでかって起こったこと、ブルーマウンテンや足尾銅山で起こったことはこれまで生態系の持続可能な利用をしてこなかった人類の負の遺産であり、ここから人類の深い反省が生まれた。  「健全な生態系」を持続させることなしには「生物多様性の保全」もありえず、 「生態系管理」の試行錯誤が学問として20世紀後半から起こりはじめた。著者が関わった「生態系を蘇らせる「協働」の場、霞ヶ浦での「アサザ・プロジェクト」の挑戦から得た教訓が未来を切り開く三種の神器として紹介されている。すなわち「ヒト特有の知性」「子孫を思う心」「協働を楽しみとする心」だ。

 お薦め度:★★  対象:環境問題に関心がある人

【村山涼二 20040226】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 物質的な過剰消費が地球の限界を超え、環境問題を引き起こしている。
 「イースター島になぜ森がないか」「白亜のギリシャはどうして生まれたか」その他人間の活動が生態系を破壊した歴史が述べられている。
 健全な生態系への復帰性・持続可能性のためには、単なる自然保護でなく「生態系管
理」が必要であることを述べている。
 「生態系管理」の手法として、対象に不確実性を認めた上で政策の実行を順応的な方法で、また多様な利害関係者の参加の下に実施しようとする新しい管理システムである「順応的管理」を推奨している。
 著者も参画している霞ヶ浦の生態系を蘇らせようとする「アサザ・プロジェクト」における市民、旧建設省、学校、市町村などとの「協働」が、このプロジェクトを成功に導いた実例を示し、「協働を楽しむ心」に明るい未来を期待している。

 お薦め度:★★★★  対象:生態系の復元・保護に関心のある方

【和田岳 20040227】
●「生態系を蘇らせる」 鷲谷いづみ著、NHKブックス

 過去のヒトが生態系に回復不能なまでの大打撃を与えたイースター島、ギリシャ、ヨーロッパ人が到着してからの北アメリカ、そして日本の足尾銅山。逆に現在生態系を蘇らせる試みが行われている北アメリカのグレン・キャニオン・ダムとプレーリー、日本の霞ヶ浦。人と自然との関わりの歴史が、現状が紹介されます。
 消費型の現代社会に警鐘を鳴らしつつ、“健全な生態系”を目標とする生態系管理という考え方を解説。人と生態系の関わりを様々に紹介してくれるという意味では、他にはあまりないまとまりがあります。

 お薦め度:★★  対象:生態系とヒトとの関わり、あるいは「生態系管理」という考え方を知りたい人

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