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本の紹介「世界一おいしい火山の本」
「世界一おいしい火山の本 チョコやココアで噴火実験」林信太郎著、小峰書店、2006年12月、ISBN4-338-18608-9、1500円+税
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【中条武司 20070426】【公開用】
●「世界一おいしい火山の本」林信太郎著、小峰書店
地質学的な現象を室内で再現する試みは、多額の費用をかけた実験設備から廃品利用したほとんどタダのものまで現在大流行中。その中で、某学会では食べ物を使った「キッチン地球科学」なるセッションまでできてしまった。本書は台所の食材を使って、火山の仕組みを説明しようというおもしろい本。特に熱で溶ける溶岩に見立てたチョコレート、細かい火山灰に見立てたココアなど、甘いもの好きにはたまらない実験の数々が紹介される。
しかし、内容については中途半端。口調がやさしいだけで、内容は小学生では難しいし、詳しく知りたいと思う人には物足りない。実験の紹介は同じ内容で中身は大人向けの方がよかったかも。
お薦め度:★★ 対象:自然の現象を身近なものだと感じたい人
【西川裕子 20070426】
●「世界一おいしい火山の本」林信太郎著、小峰書店
難しい用語の多い火山と噴火について、楽しく学べる本。台所にあるものを使って美味しく実験する、キッチン実験が魅力。コンデスミルクを使ったカルデラ実験やってみたい!
著者は小学生に教えることも経験して解説を書いているため、文章が平易で内容もわかりやすく、非常に読みやすい。被害規模の比較に、ガメラが出てくる。
最後に載っている用語の説明を見ていたら、楽しく読んだにもかかわらず、かなりたくさんの内容を扱っていたことがわかった。災害としての噴火の被害に対する心構えも学べてお得。
お薦め度:★★★★ 対象:楽しく火山を学びたい人、あるいは、キッチン実験の後片付けが楽しみな人
【西村寿雄 20070306】
●「世界一おいしい火山の本」林信太郎著、小峰書店
著者は、火山現象をできるだけ直感的に会得させようと、チョコレートやココアを使う模擬体験を取り入れている。その努力は買いたい。しかし、わたしには著者が各火山での体験から語られていく火山のなまなましい話の方が興味深い。
火山現象は一種の物理化学現象である。むしろ、その基本となる溶解や粘性、爆発の条件などを日常的な現象と結びつけて語る方がよほどわかりよい。中でも火山現象で最も大切な「水」の話がぬけている。水蒸気爆発、火砕サージなど「水」の性質を知らない限り理解が難しい。
文章は平易で火山の入門書としては評価できる。ココアやチョコレートの話をとばしても、興味深く読んでいける。
お薦め度:★★★ 対象:火山に興味のある中高校生
【六車恭子 20070427】
●「世界一おいしい火山の本」林信太郎著、小峰書店
本の装丁は一見お料理本風にみえる。洒落心でわかりやすく火山の知識や仕組みを伝えるための工夫を凝らした結果のようだ。表裏見返しの世界の、日本のおもな火山の分布図が研究者の危機感でじわっと読者の好奇心をくすぐる仕掛けだ。なぜ火山学者になったか?おおむね彼らは火山の圧倒的な美しさに魅了された結果のように思えるのは私だけだろうか。
火山の知識をチョコやココアでおいしく学ぶ「キッチン火山実験」で噴火のイメージを実態化させた功績は大きい。本文に挿入された噴火時の写真の不気味さ、破壊されたその地も時は緑で覆い尽くしていく。眠れる大地の下のエネルギーの所在が火山列島、日本を覆いつくしているのだ!情報から読み取る力が私たちには不足しているようだ。恐怖と危機をもたらすだけに思える火山が私たちの暮らしに恵みをもたらすことまでふれており、火山の普及本としては好著。
お薦め度:★★★ 対象:火山列島日本に住む人ならだれでも
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