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本の紹介「進化論という考えかた」

「進化論という考えかた」佐倉統著、講談社現代新書、2002年3月、ISBN978-4-06-149598-2、720円+税


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【中条武司 20080906】
●「進化論という考えかた」佐倉統著、講談社現代新書

 ダーウィン進化論は、種の進化だけでなく、人間の心や言語、情報、人工知能、哲学などにまで適応できるという。それらのトピックを扱いながら、「進化論」の有効性と重要性、そしてそれを伝えていくことを熱く説く。一方で、どのトピックもやや消化不良気味で、詳しくない人間(私含む)にとっては疑問符がついたまま話が進んでいく。
 科学を伝えていくのに、「物語」が重要という著者の主張は強く共感するが、それをできる人はどれだけいるのか。「センス・オブ・ワンダー」を私たちは使いこなせるのか。真の意味での「進化論」が社会に理解されるのには、まだまだ時間が必要な気がする。

 お薦め度:★★  対象:生物学を広い目で感じたい人

【和田岳 20080815】
●「進化論という考えかた」佐倉統著、講談社現代新書

 ダーウィンを起点に、現代までの進化論の系譜を紹介した本。その視野は、情報をキーワードに、人間の心や文化にまで及ぶ。いやむしろ、著者は、「遺伝子」や「情報」と、「人間」とを橋渡しすることに興味があるという。そのせいか、後半の多くの部分は、科学者が人間について語るということにかなりの紙数を割いている。
 自然選択の理屈はアルゴリズムであり、生物だけでなく、一定の条件をみたせばあらゆるシステムに当てはまる。人間の精神も文化も、全てではないにせよ、なんらかの形で遺伝子の進化の影響を受けている。そして、ミームとは何か。現代の進化理論がどっちを向いているかがある程度わかるものの、むしろ著者の立ち位置がわかる一冊。

 お薦め度:★★  対象:現代進化論の状況に興味がある人

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