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本の紹介「新種発見!」

「新種発見! 見つけて、調べて、名づける方法」馬場友希・福田宏編著、山と渓谷社、2023年1月、ISBN978-4-635-06320-3、1700円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@mus-nh.city.osaka.jp)までご連絡下さい。
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【冨永則子 20230411】【公開用】
●「新種発見!」馬場友希・福田宏編著、山と渓谷社

 本書では未知の生物が発見され、新種として記載されるまでの過程が紹介されているが、そもそも書籍になった経緯がまさしく今を象徴している。コロナに罹患した編著者の一人が自宅隔離中、唯一の楽しみであったTwitterに流れてきた新種発見に関するツイートを見て、軽い気持ちで「#新種発見のエピソード」というハッシュタグ付けて自身の体験をツイートしたところ、次々とエピソードが発信されてきた。それらが陸地、水辺、意外なところ…と発見された環境別にまとめられている。学問として“分類学”を知らなくても、それが生物学の基盤となっていること、いかに環境保全のためにも重要なのかを知ることができる。私が一番おもしろいと思ったのはサザエの話。分類学は文献学というコメントもあったが、生物学に限らず学問に文系理系の区別は必要ないなと思った。

 お薦め度:★★★  対象:新種発見を夢見る人に。学びに理系文系の区別をつけたがる人に
【犬伏麻美子 20230428】
●「新種発見!」馬場友希・福田宏編著、山と渓谷社

 表紙は生き物のイラストが学名つきで鮮やかに描かれている。
 本書は、新種の生物がどのように見つかり、どんな学名や和名を付けたか、そしてその過程を新種発見の場所別に4才の子どもから研究者までの様々な立場の人、総勢21名による全19種(昆虫、植物、動物、菌類、古生物など)のエピソードが紹介されていて、どの人たちも自ら見出した新種について熱く語っている。どのエピソードも新種発見の喜び、驚きが伝わってくる。クモの生態学が専門の著者の馬場友希博士は、長年クモを採集してきたことで、クモの飼育中に覚えた違和感が新種発見につながり、研究者としてのクモ愛が語られている。
 新種の名前の付け方が記載者の個性が表れていて、新種の数だけ物語がある。

 お薦め度:★★★  対象:「新種」や「発見」という言葉にわくわくする人たちに
【萩野哲 20230308】
●「新種発見!」馬場友希・福田宏編著、山と渓谷社

 新種、いや、未記載種はどこにでもいる!今迄に記載された生物が150万種であるのに対し、現存する生物の推定種数は最低でもその5倍、人によっては桁違いの規模を推定しているのだから。新種は身近な場所を含む野外調査、過去の文献や標本の再検討、そして近年ではSNS投稿がきっかけで発見される。本書で紹介される19の新種発見劇にはそれらのケース全てが含まれている。研究者の経験上の違和感、そこにいるとの確信、偶然がいくつも重なった、などの経緯により発見に至った事例だ。いずれも、最近の情報量増加の貢献大だが、それ以上にそれが新種だと記載種から識別する発見者や記載者の執念やオーラの方をより強く感じてしまう。

 お薦め度:★★★  対象:新種を身近に感じたい人
【和田岳 20230428】
●「新種発見!」馬場友希・福田宏編著、山と渓谷社

 帯に曰く「SNSで話題!?#新種発見のエピソード集めました」。最初に新種発見とは、的なイントロがあって、新種記載への道のり、学名の解説、記載論文に書かれる要素が解説される。最後に分類用語集が付いている(本文中の専門用語を確認できる)。本文は、陸地で発見!、水辺で発見!、こんなところで発見!?の3つのパートに分かれて、19の新種発見のエピソードが紹介される。
 チゴケスベヨコエビは、子どもが見つけたものを大阪市立自然史博物館外来研究員が記載したもの。Twitterでバズっていた。他にかわった発見例としては、標本箱に混じっていたツブゲンゴロウ類、Twitterの画像で見つけたダニ類やカイガラムシ、博物館で展示してあったウミヘビ。たしかにこんな所で?と思う。オシリカジリムシ、シノビドジョウ、サザエ。確かにTwitterで話題になっていた。

 お薦め度:★★★  対象:新種発見の夢をもっている人、あるいは分類学研究者の生態に興味がある人
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