友の会読書サークルBooks

本の紹介「野草の自然誌」

「野草の自然誌 植物分類へのみちしるべ」長田武正著、講談社学術文庫、2003年7月、ISBN4-06-159607-1、960円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【田中久美子 20031024】
●「野草の自然誌」長田武正著、講談社学術文庫

 まずは「野草の形態学」で、花のかたちの軽いレクチャーがあって、各野草のエッセイへと続く。そして分類学の解説。この本はイッキ読みより、秋冬の夜長にゆっくり1種ずつ拾い読みをして、春の野草の季節が来るのを待ちたいような本だ。「ごく平凡な道端の雑草にもそれぞれの生き方があり、それぞれの生命をもつことを、おぼつかない筆で描き出す努力をした」のあとがきの言葉どおり、野草の一つ一つをいつくしみながら書いている。それと、江戸時代の飯沼慾斎という人の葉の裏表を白黒で書き表す手法を見て、日浦勇さんの「自然観察入門」「春の野草の見分け方」のルーツがここにあるのだとわかって感心させられた。野草も奥が深いなあ。花屋の花がケバく見えて、野草が愛しくなる本です。

 お薦め度:  対象:

[トップページ][本の紹介][会合の記録]