友の会読書サークルBooks

本の紹介「植物をたくみに操る虫たち」

「植物をたくみに操る虫たち 虫こぶ形成昆虫の魅力」徳田誠著、東海大学出版部、2016年11月、ISBN978-4-486-02097-4、2000円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【森住奈穂 20170224】【公開用】
●「植物をたくみに操る虫たち」徳田誠著、東海大学出版部

 虫こぶ研究者の半生記。高校でたまたま生物部に入ったことをきっかけに、大学の卒業研究テーマで虫こぶを選び、教鞭をとる現在に到るまでが綴られている。まえがきに、研究者を志す若い世代や、将来大学教員になる可能性のある人々を念頭に執筆とあって、研究内容とともに7つの研究室をたどって得た人との出会いや、感じたことに重きを置いて描かれている。ヤマネ(佐賀県の哺乳類では唯一の天然記念物だそう)が虫こぶのなかで眠っていることがあるらしい。見てみたいなぁ。

 お薦め度:★★  対象:研究と人生を重ねて考えたいひと
【萩野哲 20170220】
●「植物をたくみに操る虫たち」徳田誠著、東海大学出版部

 虫こぶ形成昆虫は、寄主植物の形態を変えてしまうという、とても不思議な能力を持った動物である。今まで、虫こぶの図鑑はいくつか出版されているが、本書は図鑑の機能も含め、どのような機構で虫こぶが形成されるか、虫こぶの適応的意義は何か、等、これ1冊で虫こぶに関するいろんな知識を得ることができる。更に、虫こぶやその周辺の研究を行うに当たって、著者が直面した困難や幸運等さまざまな人生経験がまとめられており、こちらが内容のメインかも。

 お薦め度:★★★  対象:虫こぶ+αを知りたい人。
【和田岳 20170219】
●「植物をたくみに操る虫たち」徳田誠著、東海大学出版部

 フィールドの生物学シリーズの一冊。だけど、若手の成長物語ではなく、ある昆虫研究者の半生記といった趣。教育論もおまけで付いてる。  タイトル通り虫こぶの話だけを読みたいなら、第2〜3章、第5〜6章だけを読めばいい。タマバエをはじめとする虫こぶを作る昆虫の生態の話自体はとても面白い。

 お薦め度:★★  対象:ある昆虫研究者の半生を読みたいなら
[トップページ][本の紹介][会合の記録]