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本の紹介「消滅する言語」
「消滅する言語 人類の知的遺産をいかに守るか」デイヴィッド・クリスタル著、中公新書、2004年11月、ISBN4-12-101774-9、880円+税
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【石田惣 20060623】【公開用】
●「消滅する言語」デイヴィッド・クリスタル著、中公新書
全世界に現存する言語は約6千数百といわれる。しかし、その半数が今後100年間で話者を失うだろうという。つまり、2週間に1つのペースで言語が「絶滅」する状況にある。この原因は様々だ。災害で共同体が壊滅することもあれば、植民化で政治的に抹殺されることもあるし、話者自らが進んで先祖代々の言語を捨て去ることもある。人類の文化遺産として、また知的財産として、言語の多様性は
外部が介入してでも守るべきだと著者は唱え、言語学者としての方策を概説する。ナショナリズムと深く関わる言語の維持に立ち向かうには、困難が多い。しかし、時間はないのである。
お薦め度:★★ 対象:言語というヒトの多様性の過去・現在・未来がみえる
【六車恭子 20060622】
●「消滅する言語」デイヴィッド・クリスタル著、中公新書
著者はイギリスの高名な言語学者であり、単一言語のみがこの世界を制するのを憂れうるものらしい。今この地球上から2週間に一つ、言語が消滅していくという。言語はその共同体がその地で紡いだ歴史の保管庫であり民族の血統の証人となる。記録されることなく消滅に至った言語は貴重な情報がそこで断たれたことになるのだ。
言語の採集は遺跡を発掘するようにはいかず、生きた人々の暮らしに反映された心のありように出会うことだ。この使命感燃える行為が富める視座から繰り出されていることに一抹の不安がよぎるが、言語の死を私たちの前に突き付けて印象深い。
お薦め度:★★★ 対象:ヒトも生き物、絶滅の危機を実感したい人
【和田岳 20060623】
●「消滅する言語」デイヴィッド・クリスタル著、中公新書
現在、2週間に1つのペースで地球上から言語が消えているという。ウェールズ出身の言語学者である著者が、その現状に警鐘を鳴らす。「言語の死とは何か」、「なぜ放っておいてはいけないのか」、「なぜ言語は死ぬのか」、「どこから始めるべきか」、「何ができるか」。章立てを見るとなにが書いてあるかは一目瞭然。 言語が消滅するとは言っても、人々が言葉を話さなくなるわけではない。より多くの人々が使っている言語を使うようになるだけ。より多くの人とコミュニケーションできるのだから、便利でいいのではないかとも思う。しかし、言語こそが、それぞれの民族の文化の基礎。独自の言語を失った時、その文化の少なからぬ部分もまた失われる。と言われると確かに言語の消滅は問題があると思わされる。
多様性を尊ぶと言う点では、生物多様性についての議論に通じる部分が多い。そう思いながら読むとまたおもしろい。著者曰く、生物多様性の重要性はすでに誰もが認識しているが、言語の多様性の重要性はほとんど理解されていない。隣の芝生は青いらしい。
お薦め度:★★★ 対象:世界共通言語が普及した便利やん、と思う人
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