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本の紹介「知りたい!ネコごころ」
「知りたい!ネコごころ」高木佐保著、岩波科学ライブラリー、2020年2月、ISBN978-4-00-029692-2、1200円+税
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【萩野哲 20200708】【公開用】
●「知りたい!ネコごころ」高木佐保著、岩波科学ライブラリー
本書はネコの心理学事始めともいうべき本である。これだけ身近な動物なのに、ネコについて科学的に解明されていることはほんのわずからしい。その答えは「ネコだから」。個体差はあるものの、ネコにとって自分の守備範囲外はすべて「そと」なので、実験も守備範囲内(住んでるおウチやネコカフェのような施設)で実施しなければならないので、大変な実験機材を持って出張しなければならないし、更に現地に着いてもネコの都合にも配慮が必要だ。そして、目的の課題解決のための巧妙な実験条件を、試行錯誤の上に、考案しなければならない。そのような苦労の末に、ネコにもエピソード記憶や推理能力や飼い主概念があることを示唆する結果を得た。イヌと比較すると、大変さがよくわかる。ガンバレ!ネコ学者。ネコはまだまだ進化する。
お薦め度:★★★★ 対象:もっとネコの秘密を知りたい人
【和田岳 20200828】
●「知りたい!ネコごころ」高木佐保著、岩波科学ライブラリー
ネコの心理学研究者が、自身の大学院時代の研究成果を紹介した一冊。内弁慶のネコの心理学研究は、ネコの本拠地に行っての実験の繰り返し。猫カフェの協力をお願いし、実験に参加してくれる家ネコ(の飼い主)を募集し、京阪神で足らなくて、ネコ研究者を頼って東京遠征。
4つのテーマが次々と紹介される。第2章では、ネコがエピソード記憶を持つかを調べるために、CIAOチュールをネコにあげまくる。第3章は、ネコが推理能力を持っているかを、期待違反を利用して調べる。端的に言えば、ネコの前で箱を振りまくる。第4章では、ネコが飼い主を見分けているかを調べる。声を聞かせて、顔を見せるの繰り返し。第5章は、イエネコには懐きやすい遺伝子を持つ個体と持たない個体がいるらしい。という後輩の研究を紹介。
ネコを相手の実験自体はとても楽しそうだけど、きちんと結論を出せるような設定をするのは、なかなかに面倒そう。
お薦め度:★★★★ 対象:ネコ好き、あるいは動物の心理研究に興味のある人
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