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本の紹介「空を飛ばない鳥たち」
「空を飛ばない鳥たち 泳ぐペンギン、走るダチョウ 翼のかわりになにが進化したのか?」上田恵介監修、誠文堂新光社、2015年2月、ISBN978-4-416-11504-6、2200円+税
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【和田岳 20151030】【公開用】
●「空を飛ばない鳥たち」上田恵介監修、誠文堂新光社
飛ばない鳥は、走鳥類、ペンギン類、島で暮らす鳥、家禽の4つのタイプに分けられる。どうして知ってるかって? この本の最初に書いてあるんですよ。言われてみるとなるほどその通り。でも気づかなかったなぁ。
というところから始まって、さまざまな飛ばない鳥が紹介される。普通の鳥の本ではあまり出会わない鳥が出てくるので楽しい。
走鳥類は走り、ペンギン類は水中を飛ぶ。捕食者がいない島では飛ばなくても大丈夫。人に飼われる鳥も飛ばなくても生きていける。飛ばなくなるには理由がある。というか、理由があれば、鳥はあまり飛びたくなさそうなのが面白い。
お薦め度:★★★ 対象:鳥好きなら誰でも
【西村寿雄 20151027】
●「空を飛ばない鳥たち」上田恵介監修、誠文堂新光社
本の題名が『空を飛べない鳥たち』ではなく、『空を飛ばない鳥たち』である。飛ぶことをやめて、飛ばないで地上を駆け巡るのも鳥の進化の一つなのだ。この本は図鑑風で40種ぐらいの世界の〈飛ばない鳥〉が紹介されている。〈飛ばない鳥〉は、孤立した島などで羽を持たない鳥に進化したことがあだになって、逆に外来種の侵入から逃れられなくなっている。それだけに絶滅も早いのだという。その外来種の侵入に人間が荷担していることが多い。灯台守が持ち込んだネコ一匹のために世界でただ一種しかいなかった〈飛ばない小鳥〉が絶滅してしまったという悲運な話も紹介されている。「その楽園で進化した多くの飛ばない鳥たちが、人間のせいで絶滅に追い込まれました。…私たち人類は、地球の上で彼らと共に生きていかなくてはなりません。そのための知恵こそが、私たちに求められているのです」と上田恵介さんは締めくくる。
お薦め度:★★★ 対象:鳥の進化に興味のある人
【西本由佳 20151025】
●「空を飛ばない鳥たち」上田恵介監修、誠文堂新光社
「飛べない鳥」ではなく「飛ばない鳥」だという書き出しでこの本ははじまる。「飛べない鳥」というと、鳥のいちばんの特徴である飛ぶことができなくて、不自由な生活を送っているという印象を受けるが、実際は、彼らは自分のおかれた環境に適応して、飛ばない生活を選んだのだ。飛ぶ代わりに走ることを選んだダチョウなどの走鳥類は、車並みのスピードで走ることができるものもいる。陸上よりも海に食べ物を求めたペンギンたちは、水中を飛ぶように泳ぐことができる。島に暮らす鳥たちのなかには、外敵の少ないことから、飛ぶことをやめ、地上を歩きまわって食べ物を探すものがいる。飛ばない鳥たちは、「飛べない」という不自由に制限されるのではなく、飛ばなくても暮らしていける環境のなか、けっこう多様に生きてきた。ただ、それが数を減らしてきている。乱獲、森林伐採、環境汚染、外来種の持ちこみ、といった人間活動が、「飛ぶ」という卓越した移動能力を持たない彼らの生活に危機をもたらしている。「飛ばない」鳥たちの生活を支えてきた豊かな環境が、これ以上なくならないといいなと思った。
お薦め度:★★★ 対象:空を飛ぶからこそ鳥が好きだという人
【森住奈穂 20151029】
●「空を飛ばない鳥たち」上田恵介監修、誠文堂新光社
鳥といえば空を飛ぶものだと真っ先に思い浮かべるものだけれど、ダチョウやペンギンなど、走ったり泳いだりして暮らしている鳥たちもいる。本書には、そんなよく知られた飛ばない鳥と、天敵のいない島に暮らして飛ぶ必要がなくなった鳥、番外編として飛べるのに飛ばない鳥が登場。空を飛べるなんてうらやましいと思っていたけれど、たいへんなエネルギーが必要だったんだなぁ。飛ばない鳥は、生息地の環境変化や天敵からの攻撃などの危機に対応できないため、絶滅しやすいことも紹介されている。そして、その危機の多くは私たち人間が招いている。知らないではすまされない。空を飛ばない鳥たちも、空を飛ぶ鳥を見上げてうらやましく思っているのだろうか。
お薦め度:★★★ 対象:飛ばない鳥について調べたいひと
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