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本の紹介「睡眠の起源」
「睡眠の起源」金谷啓之著、講談社現代新書、2024年12月、ISBN978-4-06-537796-3、900円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【里井敬 20250423】
●「睡眠の起源」金谷啓之著、講談社現代新書
ラットを長時間断眠させると死んでしまう。プラナリアは12時間暗所で、12時間明所で飼わないと調子が悪くなる。24時間周期で生きているのはヒトだけではない。DNAの時計遺伝子が24時間の体内時計をカウントしている。
ヒドラに神経系はあるが脳はない。それでも1日に何度も動かなくなる時がある。ショウジョウバエの睡眠をコントロールする遺伝子と共通の遺伝子が、ヒドラに存在する。ヒドラの眠りのメカニズムは、ショウジョウバエ、ひいては哺乳類とも共通している。ヒトもヒドラも共通して眠る。睡眠は脳で起きる現象ではないらしい。覚醒している時に『意識』があるのなら、ヒドラにも『意識』はあるのか。『意識』は進化の課程のいつ生じたのか。眠りと意識についての研究に発展していくのか。
お薦め度:★★★★ 対象:睡眠について深く知りたい人
【和田岳 20250423】
●「睡眠の起源」金谷啓之著、講談社現代新書
眠りの起源と仕組みを研究している著者が、自身の研究歴とともに睡眠について語る。
クロアゲハは夜どこで寝てるのか?と疑問に思った小学生時代。あわせて寝てる時の脳波が解説される第1章。高校生時代、徹夜で試験勉強して失敗。あわせて断眠実験、寝だめと睡眠物質が紹介される第2章。
第3章では、プラナリアを飼育した話からの、体内時計と時計遺伝子の説明。
第4章-第5章、大学に入学すると、1回生の時から研究室に出入りしてヒドラの睡眠の研究を開始。韓国との共同研究を経て、ヒドラも眠るという論文を発表。第6章は”睡眠の起源は何か”と題しているのだけど、眠らない動物はいるか?などが書かれているものの、起源についての結論はなし。
タイトルに惹かれて読み始めたら、ヒドラが眠ることが判ったものの、睡眠の起源はさっぱり判らず、モヤモヤして終わる。睡眠の定義、断眠実験、麻酔がどうして効くかが判ってない等々、興味深い内容も多いので、ストーリーは気にしない方がいいのかもしれない。
お薦め度:★★ 対象:睡眠についての色んな話題を知りたい人
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