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本の紹介「砂 文明と自然」

「砂 文明と自然」マイケル・ウェランド著、築地書館、2011年8月、ISBN978-4-8067-1425-5、3000円+税


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【森住奈穂 20131212】【公開用】
●「砂 文明と自然」マイケル・ウェランド著、築地書館

 「砂」と聞いて思い浮かべる色は?白、黒、灰色。
 そんな思い込みが最初の口絵に覆される。そして頁を繰るにつれ、砂粒は雄弁に語りだす。形を変え、大きさを変え、過去から未来へ。さらに宇宙へ。ことに砂が持つ時間の尺度は、人間のそれをはるかに凌駕する。スケールが全く異なるのだ。砂は永遠を表すものであると同時に、小さすぎる微小なものでもある。ふり幅の大きさにめまいを感じながら、同時にすっかり魅了されてしまう。平凡だと思い込んでいた砂への見方が180度変わる。簡潔な文体は読みやすく、400頁にしり込みする誰彼にも薦めたくなる。カバーも素敵。本書の世界観をよく示していると思う。

 お薦め度:★★★★  対象:目からうろこを落としてみたいひと

【中条武司 20140221】
●「砂 文明と自然」マイケル・ウェランド著、築地書館

 「砂」の定義は大きさだけだ。1/16mmから2mmまでの固体なら何でも砂。ただそれだけなのに、何と多彩な話題があるんだろう。砂つぶの美しさから、砂のでき方、その転がり方や沈み方、資源としての砂、芸術から宇宙まで、私たちの生活のありとあらゆるところに砂が関わっている。そして砂は様々な旅をする。距離も時間も移動方法も異なった砂つぶが大地を作っていると考えたら、手の上に乗った砂も気軽には扱えない?安部公房「砂の女」をはじめとした砂を扱った文学・音楽・映画などへのオマージュが様々なところに散りばめられているのも、砂に格調を与えている。砂への愛とうんちくがあふれる一冊だけど、400ページは長すぎるよ…。

 お薦め度:★★★  対象:長い本を読み切ることができる人ならだれでも

【村山涼二 20131213】
●「砂 文明と自然」マイケル・ウェランド著、築地書館

 砂の粒子の大きさの測定、安息角、水中・空気中の動き、砂と音、生物のつくる砂、科学捜査と砂、液状化現象など。山から川、海、大陸棚、海底、海岸、砂丘、砂漠での砂の動き。地球の年齢についての手がかりともなる。海に沈み、堆積し、プレートとなり、陸に岩になり、砕けて砂になり、また海への堆積を繰り返す。砂に残された模様芸術、砂漠の砂や洪水に埋められ保存された古代人が発見されている。建造物、鋳型に、水ろ過に、ガラス、陶磁器、砂による研磨、砂時計と人の生活で活躍する砂。火星の砂、はやぶさが小惑星いとかわから持ち帰る砂にまで触れている。砂丘の恐怖、コンックリートへの塩害など安部公房の小説「砂の女」から引用している。図や写真も多く、索引も完備し、砂に関するすべてを述べている。

 お薦め度:★★★  対象:砂を知りたい人

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