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本の紹介「捨てるな、うまいタネ」

「捨てるな、うまいタネ」藤田雅矢著、WAVE出版、2003年5月、ISBN978-4-87290-155-9、1300円+税


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【和田岳 20090619】【公開用】
●「捨てるな、うまいタネ」藤田雅矢著、WAVE出版

 小さい頃、よく食べたミカンのタネを蒔いていた。簡単に芽は出るのだが、何年経っても実ができない。やがて諦めてしまった。あのミカンの木はどうなったのだろう?
 これはまさにそういった果物に付いてる邪魔者タネを蒔いて育ててみよう、という本。収穫を求めてでもいいけど、芽が出ること自体が楽しい。観葉植物としてもいけてる。それを入口に、F1品種や食糧自給率など現在の農業をめぐる問題の一端にまで、思いをはせる。
 とにかく果物食べたら、またタネをまいてみようかと思う。ミカンではなく、スイカやイチゴなら一年以内に収穫も望めるらしい。アボカドも期待できるという話。捨ててたタネで収穫できるならとっても得! 子どもの頃に思った事を思い出した。

 お薦め度:★★★  対象:果物好き、植物好き、自給自足に憧れる人

【萩野哲 20090824】
●「捨てるな、うまいタネ」藤田雅矢著、WAVE出版

 大部分の人は野菜や果物を食べた後、その種や皮を捨てているでしょう。だが、ちょっと待って下さい。これらの種はたいへんな潜在能力を持っていて、蒔くと簡単に発芽してその後収穫の喜びを味わわせてくれるのですよ、というのが本書の趣旨(種子?)。最初のキウイのタネまき体験記、第一章の「捨てるな、うまいタネ」を読むと、なるほど、タネまきをやってみたくなる。しかしその後は、結構くどくどと理屈が並べられていて、はっきり言って面白くない。やっとタネまきのノウハウが出てくるのは第三章になってからであった。タネまきする気になっている読者をそのまま一気に引き込むためには、途中を端折ってもっと第三章を充実させたらよかったのに、と感じた。

 お薦め度:★★★  対象:タネをまいてみようかというちょっとしたエネルギーのある人

【六車恭子 20090827】
●「捨てるな、うまいタネ」藤田雅矢著、WAVE出版

 この著者、人を煙に巻くようなところがあると思いきや、すでに10年以上前ですが、出会ってました! ファンタジックな「蚤のサーカス」「糞袋」の著者でした。こんどはこんな切り口で登場というわけでした。
 ファンタジーの誕生する場はきわめて生活感あふれる台所、それも私たちが「生ゴミ」として破棄する運命にある、その余り物に、お話のタネを見いだされたようです。コンポストの堆肥を庭に蒔いたら、カボチャが収穫できました、と友人からもらったことを思い出しました。しかし庭のある人はいいなあ、ベランダしかない我が身が恨まれました。しかしそんなことはなさそうです。手のひらに載るようなポットで、彼は「うまいタネ」を日々まいて、芽を出させ、収穫の喜びにあずかっているのです。美味しい果物のタネをまいても、そのタネから同じような美味しい果物が収穫できるのではない、種苗業界の裏事情や、タネの周りにはぬるぬるとした発芽を抑制するものがあり、それをきれいに落として、うめることとか、うまく芽だしを楽しむノウハウが満載。本全体からエコ気分にひたれそうです。

 お薦め度:★★★★  対象:食べることが好きな人、作ることが好きな人、何かに夢中になれる人

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