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本の紹介「スズメの謎」

「スズメの謎 身近な野鳥が減っている!?」三上修著、誠文堂新光社、2012年12月、ISBN978-4-416-21269-1、1500円+税


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【冨永則子 20130422】【公開用】
●「スズメの謎」三上修著、誠文堂新光社

 スズメの謎が分かる本というより、スズメの研究者を知る本。研究するとはどういうことか? 知らないことがある時はどうやって調べるのか?が語られていて、“研究者”というお仕事紹介の本。
 タイトルから受ける印象とは全く違った内容。スズメの謎が分かると思ったら、研究者のナゾを知る本だった。

 お薦め度:★★  対象:“研究”する人になってみたいと思っている小学生に

【西村寿雄 20130410】【公開用】
●「スズメの謎」三上修著、誠文堂新光社

 「日本にスズメが何羽いるのか数えてみたらどうだろう」という身近なことから話が始まる。しかし、このテーマはあんがい難しい。スズメが日本に何羽いるかといっても、どうやってスズメの数を調べるのか。街を歩いて目についた雀の数をカウントしても正確なデータとはならない。著者が考えたのは、スズメの巣をカウントすることだった。といっても人工物のすき間に多いスズメの巣などおいそれと見つからない。著者の経験を生かした独自の調査法が生み出されていく。続いて「近年、スズメの数が減少している」という話を取り上げ、「なぜ、スズメは減少しているのか」にも言及している。巷の話題としても興味深い。
 野鳥などの社会学的な科学研究の方法についても参考になる。大衆にとって身近な研究をすることの意味も説いている。「自分の研究は歌謡曲のようなもの」という著者の主張に親しみが持てる。やさしい語り口で小学生から読める。所々にちりばめられているスズメの写真はすばらしい。

 お薦め度:★★★★  対象:鳥に興味を持つ小学校高学年から

【萩野哲 20130424】
●「スズメの謎」三上修著、誠文堂新光社

 最も身近な鳥の1種であるスズメは、果たして何羽いるのか?との著者の疑問は、スズメが減少している証拠集めに進む。いろんな動物で個体数推定の方法が工夫されているが、スズメの場合は巣の数に基づいて1800万羽と推定された。減少している証拠については、@自由学園での45年にわたる調査結果、A農業被害面積、B有害駆除羽数および狩猟羽数、C自然環境保全基礎調査の記録を挙げて、その確度を上げている。減少した原因としては少子化や巣つくり場所の減少が想定される。以上の議論を行うに当たり、著者はなぜそのように考えるか、詳しく解説しており、このようなスズメの減少が他の生きものにどのような影響を与えるか、という問題にも踏み込んでいる。考えれば考えるほど疑問百出であり、身近な生きものの盛衰に興味がわいてくる。

 お薦め度:★★★  対象:身近な自然に興味を持つ人

【和田岳 20130409】
●「スズメの謎」三上修著、誠文堂新光社

 著者は、スズメが減ってる可能性を最初に指摘した論文を書いた人物。マスコミに盛んに取り上げられたので、聞いた事がある人も多いだろう。でも、その元論文を読んだ人は少ないのでは? 本書では、どうして著者がスズメを調べようと思ったのかから、日本にスズメが何羽いるかを推定した研究を紹介し、さらに何を根拠にスズメが減っていると考えたのかを説明している。子ども向けに丁寧に書いてあるので分かりやすい。でも、中身はかなり高度。調査方法の問題点、データの見方、残された課題がきちんと紹介されている。鳥の野外調査&研究の入門書として読める一冊。

 お薦め度:★★★  対象:スズメの減少、または鳥の調査に関心のある人

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