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本の紹介「タネの未来」
「タネの未来」小林宙著、家の光協会、2019年9月、ISBN978-4-259-54771-4、1600円+税
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【冨永則子 20200601】
●「タネの未来」小林宙著、家の光協会
著者の小林くんは今は高校2年生。彼は中学3年生15歳の冬に『鶴頸種苗流通プロモーション』という主に伝統野菜のタネを扱う会社を起こす。これだけ聞くと、なんだ大学生がコンピュータを上手に使ってベンチャー企業でお金持ちになったって話の早熟版かぁと思いそうだが、然に非ず! 『鶴頸(カクケイ)』という何とも古風な名前通り、超アナログで手作り感満載の会社だ。小林くんは極度の食物アレルギーの持ち主で、食べられたのは、初期は野菜と魚と果物だけだったそうだ。大きくなって食事に困らないようにと、お母さんは自分で食べるものは自分で作れるように小さい頃から料理を教えてきた。食に関する興味も自ずと小さい頃から身についていたのだろうが、タネとの出会いは小学1年生で誰もが体験するアサガオの栽培。あまりにも一般的で意外だった。伝統野菜、食物アレルギーなどと聞くと、さぞやナチュラル志向が強く、自然崇拝主義かと思いきや、遺伝子組み換え植物やF1種についても、その必要性や有用性をきちんと認めている。非常にリベラルな思考の持ち主だと思った。今まさに種子法が廃止され、種苗法が改正されようとしている。タネという当たり前に思っているものが現在おかれている穏やかではない状況を知るきっかけを高校生から提示されている。
お薦め度:★★★★ 対象:野菜やお米を食べてる全ての人に
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