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本の紹介「種子たちの知恵」
「種子たちの知恵」多田多恵子著、日本放送出版協会、2008年5月、ISBN978-4-14-040230-6、1400円+税
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【村山涼二 20081223】【公開用】
●「種子たちの知恵」多田多恵子著、日本放送出版協会
根の生えた植物は移動できない。だが、種は巧妙に新たな世界を求めて移動し、時を超えて未来へも旅をする。自然を利用して、プロペラで(ユリノキ)、風で、川を流れて(ガマ)、色につられた鳥が食べて糞でバラマク(ナンテン)、リスや鼠が保存食として運び蓄え(ドングリ)、人にくっつき(オナモミ)、踏まれた靴の裏にひっついて(オオバコ)、美味しい部分(エライオソーム)を好むアリが巣まで運ぶ(スミレ)、パチッと弾ける力で飛ぶ(カタバミ)、など、など。花は知っていても、注意して見たこともない種をいっぱい(100種を超える)写真で示す。まさに種子図鑑だ。種を見つめると知恵の塊だ。庭のムクゲの種をゆっくり見てみよう。
お薦め度:★★★ 対象:花も、実も、種もまとめて愛したい人
【加納康嗣 20081028】
●「種子たちの知恵」多田多恵子著、日本放送出版協会
40種近い植物の種子たちの移動戦略を易しく解説する。比較的なじみの多い植物たちであるが、知らなかった意外な形質や繁殖戦略を知り、興味深く読むことが出来た。特に難しい植物形態学の話はないが、知らず知らずに子房の構造などにも関心が向けられる。ガガイモは早速近くに咲いている花を解剖することになったが、不思議な構造や妙な花粉塊に驚かされた。ジュズダマ、カラスウリ、サイカチ、サルナシなど知らないことも多くあらためて調べてみたい気になった。読みやすくわかりやすい。
お薦め度:★★★ 対象:身近な植物が大好きな人
【高田みちよ 20081023】
●「種子たちの知恵」多田多恵子著、日本放送出版協会
まず装丁がおしゃれ。中もなんだか料理本みたいに写真やイラストが多用されていてかわいい。構成も料理本みたいに、それとなく散布方法で区切って、一種一種について書かれている。それほど目新しいことが書かれているわけではないが、花や果実の詳しい構造などは「へぇ、そうやったんか」というのもあるし、なにより著者の植物への愛情が溢れていてほほえましい。癒し系植物本。
お薦め度:★★★ 対象:何気ない午後にぼへーっと勉強したい人
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