「君よ知るや、南の国・・・水と時の、たゆたうところ・・・」と描かれるワニのパラダイス。コンパクトながら、ワニの形態や生態がばっちり理解できます。一番楽しいのは「ワニママの、子育て日記」に始まる後半部分でしょう。ワニの巣作り、産卵、9〜10週間かけての巣の世話、オス・メスの決定は気温まかせだとか。子どもたちに大人気なのは「愛は、忘却のかなたに・・・」のページで、「ここはどこ? あたしはだれ? あんたどこの子?」「かあちゃん!」「おいしそうね!!」の子離れ・母離れのシーン。爬虫類のイメージチェンジを課題とする著者の主張もしっかり書き込まれた愛すべき絵本です。
お薦め度:★★★★ 対象:初心者〜ワニファン
【外丸須美乃 20020809】
●「とことん・ワニ」ひろかわさえこ著、あかね書房
<簡潔版>
ワニのチャームポイントから、普段の生活や子育てまで、ワニのことをとことん解説。可愛らしいイラストと笑いを誘うコメント満載の、軽いノリの絵本だが、意外に詳しくワニの生態まで述べられている。楽しいイラストを眺めながら、知らず知らずのうちにワニ博士になれる。このほか、まじめなはなしシリーズには『まるごと・カバ』、『ぜんぶ・ゴリラ』、『たんと・タヌキ』、『やたら・カラス』がある。
<長い?版>
「ワニは…すきですか?」
獰猛なイメージが先に立ち、大好き!と答える人は少ないかもしれません。でも、この作者の愛情あふれるイラストを目にしたら、怖いと思う人はいないでしょう。ワニのチャームポイント(パッチリした目とパックリした口!)から、普段の生活や子育てまで、ワニのことをとことん解説。可愛らしいイラストと笑いを誘うコメント満載の、軽いノリの絵本ですが、意外に詳しくワニの生態まで述べられています。楽しいイラストを眺めながら、知らず知らずのうちにワニ博士になれます。
「土に生まれ…水に生き…いつか、また…」
ワニは嫌いでもワニ皮のハンドバックは好き、という人は多いかもしれません。でもワニも生きているのです。この絵本で、いろいろな角度からワニのことを知ってみませんか?
このほか、まじめなはなしシリーズには『まるごと・カバ』、『ぜんぶ・ゴリラ』、『たんと・タヌキ』、『やたら・カラス』があります。
お薦め度:★★★ 対象:(図書館風に言えば)中学生から大人まで
【中条武司 20020808】
●「とことん・ワニ」ひろかわさえこ著、あかね書房
「ワニについてのまじめなはし」と副題にあるように、ワニの特徴や生活などをひととおり紹介している。かわいいイラストや短い文章など、非常に読みやすく構成してある。
しかし、どのような読者層に向けての本かが少しわからない。一般向けなのだろうけど、イラスト以外は遊びの部分が意外と少ないし、広い内容を浅くあつかって、はしょり過ぎてる感じがする。また子供にとっては面白みがないのでは。ということで、私の判断としては、★の横に書いたような人向けなのかなと感じました。
お薦め度:★★ 対象:偶然手に取った人向き
【六車恭子 20020808】
●「とことん・ワニ」ひろかわさえこ著、あかね書房
イラストの可愛さに釣られてうっかりあけるとここはもう、引き返せない世界の入り口のようです。嘘のように装われた本当のお話がぎっしり詰まっているからです。ワニの生まれて来る性比は温度に左右されるらしい。ワニの種類によってその温度は違うようだ。ああ、それを彼女は「男の子が生まれるか、女の子がうまれるかは、お天気まかせです。」とさらりと書いている。
絵本はくり返しくり返し読まれる運命にある。この本がある家では知らず知らずにワニ博士が誕生してしまいそうだ。野生そのもののワニをペット感覚で馴染んだ後にワニとワニの住む壮大な環境と歴史が丸ごと心に住みついてしまうからです。
お薦め度:★★★ 対象:異形のものと親しむのはよきことだ、と納得できる人にお薦め
【和田 岳 20020809】
●「とことん・ワニ」ひろかわさえこ著、あかね書房
キャラクター化されたかわいいワニの絵を登場させて、ワニの生態と行動を中心に、進化や形態まで含めて、ワニのいろんな事を解説してくれる。字が多めの絵本。
センスが良くて読みやすい構成で、けっこう情報も盛り沢山。ちょっと古いので、内容がどこまで信頼できるかやや気になるところだが。個人的には、おまけでついている絵葉書が嬉しい。
お薦め度:★★★ 対象:ワニのことを知りたい人、子どもでも大丈夫