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本の紹介「となりのハト」

「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社、2022年4月、ISBN978-4-435-06310-4、1350円+税


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【西本由佳 20220613】【公開用】
●「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社

 ハトはそこら辺にいる。街中で見かけても、特に気に留める必要はない。駅で自分の上にいたり、マンションでベランダをうろうろしていたら要注意。ハトについて、その程度の認識の人は多いと思うが、実は結構おもしろい鳥だった。ベジタリアンで平和主義、下を向いたまま水を飲める、オスも「ミルク」を出して子育てできる、伝書鳩になるのは飛行能力が高く帰巣性があるから、離島には大きなハトやきれいなハトがいる、世界には虹色の羽をもつハトがいる、絶滅したドードーもハトの仲間だった。ハトについて、様々なトピックが紹介される。一つひとつのトピックは短く読みやすい。ぱらぱら読む程度でも、あまり気にしていなかったハトについて興味がわいてくると思う。

 お薦め度:★★★  対象:ハトなんて、と気にしていなかった人に
【冨永則子 20220611】
●「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社

 スズメ、ハト、カラスは「三大 誰でも知ってる鳥」。どんなに鳥に関心のない人でも日本に住んでいれば誰でも知っているし、自分の目で実際に姿を見たことがあるはず。そんなハトの基本的な生態から、日本で身近に見られる種、離島や遠方だけで見られる種、そして、世界や絶滅してしまった種を紹介していく。ハトと人との関わりの深さや歴史を知ると、今や糞問題で害獣扱いのハトを見る目も変わるはず。ただし、本文中には一枚の画像もない。すべてイラストのみ。画像はネットで検索してね!ってことかな? まさに、イマドキの出版物だな。

 お薦め度:★★★  対象:ハトは鳩でしょ?と思ってる人に
【萩野哲 20220601】
●「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社

 ハトの特徴は誰にでもハトだとわかることだ。胸筋/体重は31-44%と他の鳥と比較して群を抜いている(鳩胸)。羽毛が抜けやすく、先端が崩れて粉状になる粉綿羽も持っている。ハトがぶつかった窓ガラスを見てみたいかも。水をごくごく飲むことができる。雌雄ともピジョンミルクを作るので、年中繁殖可能だ。日本産のハト類は絶滅種も含め12種いる。中でもカワラバトを家禽化したドバトは、群居性やねぐらと営巣場所が同じ性質から、食用のみならず、伝書鳩や愛玩用に長い間利用された。エジプトなどではカワラバトに巣を作らせるためのピジョンタワーを今でも見ることができるそうだ。西暦391年に日本に持ち込まれたとされるドバトの灰二引模様がかの地でも繁栄しているのだろうか。

 お薦め度:★★★  対象:ハトをもっと知りたい人
【森住奈穂 20220617】
●「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社

 ハトは身近な鳥だけど、あまり関心を持たれない。ホメラレモセズ クニモサレズ、そんな存在。だけどいったん興味を持てば、(あの首振り!あの横目!あの声!)その魅力にメロメロになってしまうのは世の常。本書にはハトにまつわるあれこれが詰まっているから、入門書として良いかも知れない。身近なドバト、キジバトのほか、こんなハトがいるのか!というような珍しい種の紹介や、関東地方の局所に分布するシラコバト、伝書鳩に代表される人との関わりなど、ハッとする?話題が盛りだくさん。デクノボーと勝手な人間が呼ばわっても、ハトはしゃあしゃあと生きている。

 お薦め度:★★★  対象:そういえば今日もいたわハト、と思い出したひと
【和田岳 20220615】
●「となりのハト」柴田佳秀著、山と渓谷社

 著者は鳥に詳しいサイエンスライター。とくにカラスなど市街地の鳥には造詣が深い。
 第1章は、抜けやすい羽毛、首振り、食性、水飲み、ピジョンミルクなど、ハトをいろいろ紹介。第2章はドバト、キジバト、アオバト、第3章はズアカアオバト、カラスバト、シラコバト、と日本のハトが紹介される。第4章は、世界のハトの紹介。ドードーやリョコウバトなど絶滅したハトが多めに登場。最後の第5章は、ハトと人の関わり。食肉としてのハト、伝書鳩やレース鳩。
 家禽だし外来生物問題もあるし、メジャーな絶滅種がいくつもいるし、身近だし。言われてみれば、ハトは色々とネタが多い鳥だった。

 お薦め度:★★  対象:ハトにあまり詳しくない人
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