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本の紹介「となりの野生動物」

「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版、2015年11月、ISBN978-4-86064-453-6、1700円+税


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【冨永則子 20170220】【公開用】
●「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版

 日本に暮らしていてクマ、サル、タヌキなどの哺乳類を知らない人はほとんどいないだろう。まさに『となりのー』と付くぐらい親しい動物といえる。しかし、その親しみは実際に接したり見たりといった実感をともなうものではなく、おおかたが“イメージ”としてではないか…。
 著者は、そのイメージがどこからくるのか、なぜそのようなイメージを持つのかを民話や童話、言い伝えなど文化的な側面から考察していく。そして、動物学者として、動物からヒトを見るという語り口で、そのイメージと実際を科学的に比較する。個々の動物について正しい知識を持って理解することの大切さ、『野生動物』と一括りにしてしまう乱暴さを伝えている。動物について語る時、特に幼い子に語る前に大人も知っておくと良いと思った。

 お薦め度:★★★  対象:私たちの身近に生きる動物を知る入門書として
【津田香織 20170223】
●「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版

 伝承おとぎ話やことわざなどからくる野生動物のイメージと、実際の動物の姿とのギャップにあらためて気づくことができる一冊。農村生活者は野生動物に農作物が荒らされて苦労しているが、都市生活者もこの問題負担すべし、との持論が面白い。

 お薦め度:★★★  対象:日本の身近な野生動物と人間との関係をもう一度考えてみたい人へ。
【六車恭子 20170224】
●「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版

 シカの研究者である著者が学生を指導する過程で、今日的課題を生態学的、文化史的に読み解こうとした入門書のような本。人々の暮らし方の変遷がいつの間にか様々な弊害を生み、野生動物こそその影で繁栄と衰退が露になってきたのでしょうか。「猿回し問題」への著者の苦言はさすが生態学者の本筋を見て、納得した次第です。

 お薦め度:★★★  対象:野生動物ってなに?と思った人に!
【和田岳 20170224】
●「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版

 シカを中心とした哺乳類の専門家が、一般向けに動物の生活をやさしく解説しようとしたらしい。後書きを読むと、動物学的な記述だけでは面白い内容にならないので、昔話やことわざに出てくる動物のイメージから話をはじめることにしたらしい。
 タヌキ、ウサギ、イノシシ、カヤネズミ(ネズミ)、アライグマ、クマ、カモシカ、サル、シカが順に取り上げられる。出だしは、昔話やことわざ、あるいは一般のその動物に対するイメージの話から入って、多少強引にでもその動物の生態や生息環境の話につなげ、それぞれの動物とのつきあい方についてふれて終わる感じ。動物とのつきあい方の部分には、著者の見識が示されていて、すでに動物に詳しい人は各章の最後だけ読んでいけばいいだろう。とくに、シカが増えすぎた原因とそれへの対応、サルの駆除について、里に出没するクマとのつきあい方についてのコメントは、是非一読を。

 お薦め度:★★★  対象:人と野生動物の関係が気になる人
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