友の会読書サークルBooks

本の紹介「鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学」

「鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学」松田道生著、理論社、2019年5月、ISBN978-4-652-20308-8、1300円+税

【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【西本由佳 20190825】【公開用】
●「鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学」松田道生著、理論社

 鳥がとくに好きでなくてもウグイスの声を知っている人は多い。ウグイスの声を導入に、鳥のさえずりについて書く本かと思ったら、本当に1冊ほとんどウグイスの声の話だった。それだけで本になるなんてウグイスはすごい。そして、ウグイスの声の話だけでも、鳥全般のさえずりについて理解が深まる。声を出す理由や環境から生態の話、声をソナグラムにしてわかる音響的な特徴、そして後半では人がウグイスの声をどう聞いてきたかといった文化的な要素まで、語られることは多岐にわたる。ところどころはさまれる著者の観察記録からは、自分もがんばればウグイスの生態に近づけるかもと思えてくる。

 お薦め度:★★★  対象:ホーホケキョを聞いたことがあれば
【西村寿雄 20190825】
●「鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学」松田道生著、理論社

 一番どこでも聞ける鶯について、鳥はなぜ鳴くのかをいろいろに論じているがあくまで推測でしかない。いろいろと鶯の鳴き声を考えることはできるが、一人の鳥好きのたわごとにも読める。相手が鳥ということもあって難しいことはわかるが、どこまでが本当なのか、その見極めが難しい。著者は、いちおう哺乳動物調査のように鳥の鳴き声を声紋にはとってはいるが、声紋を分析するほどでもない。後半には、「日本人と鳥」があって、万葉の時代から現代まで、鳥がいかに人々に親しまれてきたのかを知ることもできる。そういえば、今も東京には鶯谷がある。きっと鶯が良く鳴いていた所か。文章は読みやすく気楽に読める。

 お薦め度:★★★  対象:鳥の鳴き声に興味のある人
【和田岳 20190723】
●「鳥はなぜ鳴く? ホーホケキョの科学」松田道生著、理論社

 てっきりウグイスの鳴き声をきっかけに、鳥の鳴き声いっぱんの話が始まるかと思いきや、一冊まるまるウグイスの鳴き声の話。ウグイスだけで一冊できるとは驚いた。それだけに、ウグイスの鳴き声に関して、鳴き方や生態といった科学的側面を紹介する。とともに、ウグイスが詠まれた歌、飼育、言い伝えと文化的側面まで網羅している。
 ウグイスの話から鳥一般のことも透かし見える部分もあるけど、やはり少し物足りない。

 お薦め度:★★★  対象:ウグイスに興味のある人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]