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本の紹介「鳥たちの驚異的な感覚世界」
「鳥たちの驚異的な感覚世界」ティム・バークヘッド著、河出書房新社、2015年4月、ISBN978-4-309-25278-0、2200円+税
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【和田岳 20160826】【公開用】
●「鳥たちの驚異的な感覚世界」ティム・バークヘッド著、河出書房新社
鳥の行動生態学の大先生による鳥の感覚についての一冊。といっても教科書ではなく、調査エピソードも交えて読みやすく、今まで知らなかった鳥の感覚世界についての話題が並ぶ。野外で鳥を見る目も変わるかも。
鳥の眼は左右で機能分化していて、タカは右眼で獲物を狙うとか。大声で鳴く鳥は、鳴くときに自分の耳を覆って保護するとか。アブラヨタカはエコーロケーションするとか。カモの嘴の先にはたくさんの触覚受容体が並んでいて、それを使って泥の中の食べ物を探すとか。鳥は右眼で地球磁場を見てたとは!
蜜蝋ろうそくに火を付けるとミツオシエがやってくるというのは、一度体験してみたい。
お薦め度:★★★★ 対象:鳥に興味があれば
【西本由佳 20160821】
●「鳥たちの驚異的な感覚世界」ティム・バークヘッド著、河出書房新社
アメリカチョウゲンボウは18メートルの距離から体長2ミリの虫を発見できる。アブラヨタカは自分が発した音の反響を利用して物の位置を定位し、真っ暗闇を飛行できる。そして、長らくありえないと言われてきたことだが、磁場が特定の生化学反応を変化させること利用して、鳥は磁場を「見る」ことができる。鳥たちの感じている世界は、人間の感覚でははかれない。人間がけなげだといたく感情移入する擬傷という行動は、親鳥の献身や知能の表れではなく、本能的な行動だという。人のものさしで鳥を見てしまうことの危うさを感じるとともに、人の手の届かないところにいる鳥たちに、あこがれを新たにした。
お薦め度:★★★ 対象:生きものが好きな人
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