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本の紹介「ツバメの謎」
「ツバメの謎 ツバメの繁殖行動は進化する!?」北村亘著、誠文堂新光社、2015年2月、ISBN978-4-416-11409-4、1500円+税
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【森住奈穂 20150625】【公開用】
●「ツバメの謎」北村亘著、誠文堂新光社
春3月、ツバメたちが帰ってくるとうれしくなる。遠く東南アジアの国々から小さな体ではるばる飛んできて、わたしたちのすぐ近くで子育てをする。小さい巣にぎゅうぎゅうになって子ツバメたちが身を寄せ合っているのを見るとうれしくなる。無事に巣立って、また来年帰ってきてね、と心の中で声をかける。そんなツバメたちの謎に迫る本書。日本のツバメのオスは、尾羽の長さよりもノドの赤さでモテる。昨年巣をつくった場所に戻ってきて、オスは同じメスを待つけれどメスは待たない。子どもたちは同じ場所へは戻ってこない。など、謎に思っていたことが明らかに。特に「つがい外交尾」についてページが割かれており、電線の上で「ジュルジュル」と仲よさそうに鳴きあっているツバメたちの実はシビアな繁殖行動が赤裸々に語られている。ところ著者にはでツバメの鳴き声が「チュルリチュルリチュルリ、ジャー」と聞こえるようなのですが、わたしには最後のところが「ジュィー」と聞こえます。さて、あなたには?
お薦め度:★★★ 対象:今年もツバメの巣を見上げたひと
【冨永則子 20150623】
●「ツバメの謎」北村亘著、誠文堂新光社
ツバメは、ハトやスズメに並んで、街なかでも目にする身近な鳥だ。しかも、巣作りから子育てまで観察する事が出来る。都会暮らしの私達にとっても身近な生き物であるツバメだから、専門家なら何でも知っていると思うが、あに図らんや、答えを知らない事が多いそうな… その謎の一つとして、『ツガイ外交尾行動』について一章を割いて語られているが、これがまたヤヤコシイ! まだよく分かっていない事を解説するのだから仕方ないかもしれないが、それにしても、こうも仮定の話が続くと文章を追っていてもこんがらがる。しかも、この本は子ども向けなので、複雑な男女関係や婚姻関係を擬人化して引用している事に違和感を感じた。著者の専門とする研究テーマなのだろうが、子ども向けとして提示するのに適した『謎』は他にもあったと思う。
お薦め度:★★ 対象:ツバメを見たことがある人に
【萩野哲 20150624】
●「ツバメの謎」北村亘著、誠文堂新光社
ツバメは最も身近な鳥の1種ではあるが、このような身近な種でもわかっていないことはたくさんある。例えばツバメの正確な渡りのコースはまだよくわかっておらず、最近の小型装置の技術の進歩により緒についたばかりである。本書でやはり力が入っているのは、副題からもある程度わかるように、「つがい交尾行動」の項であろう。現在は少量の血液で遺伝子診断が可能であり、誰の子かわかるようになってきたが、ツバメでは15%ものつがい外子がいたという調査結果が出た。ツバメのオスとメスはそれでどのような利益があるのだろうか? 個人的には。ツバメの尾羽が思いのほか長いことに興味を持った。
お薦め度:★★★ 対象:身近な生物の生活に興味を持っている人
【和田岳 20150626】
●「ツバメの謎」北村亘著、誠文堂新光社
ツバメが渡ってきて、春の最初の繁殖では古巣を修繕して使うことが多く、6〜7月頃の2回目の繁殖ではむしろ新しく巣をつくることが多いらしいとか。親ツバメは一番最初に口を開けて鳴くヒナに餌を与えるのだけど、すでに餌をもらったヒナはあまり鳴かなくなるので、兄弟間で餌はそれなりに分配されるとか。ツバメ研究者によるツバメ紹介の本なので、他ではお目にかかれないツバメ情報に出会えるのは楽しい。全体的には、繁殖を中心にしたツバメの一年を紹介して、著者の研究テーマのつがい外交尾について語った本。
お薦め度:★★ 対象:ツバメに興味があるなら
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