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本の紹介「ツノゼミ ありえない虫」

「ツノゼミ ありえない虫」丸山宗利著、幻冬舎、2011年6月、ISBN978-4-344-02011-5、1300円+税


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【六車恭子 20110826】【公開用】
●「ツノゼミ ありえない虫」丸山宗利著、幻冬舎

 ファション誌を覗いたような錯覚を憶える。これは装身具なのか、はたまたUFOなのか? カラフルな色彩、奇抜な衣裳、究極の愛すべき変な生ものの写真集だ。自然の美しさは細部に宿るとすれば、断然ツノゼミが筆頭だろうか。植物の汁を吸って甘露に満ちた彼らはあま〜い夢の世界に誘う。うっかり手を出そうものなら彼らは毒のあるとげで報いる。くわばらくわばら・・・。ツノゼミ顔面カタログの頁はついつい何かを連想させてくれる。驚きと郷愁に満ちたまるで異世界からの招待状のような本に仕上がっている。疲れた時のコーヒ一杯に値する。

 お薦め度:★★★★  対象:肩こりのあなた!生活に疲れたあなた!

【西村寿雄 20110821】
●「ツノゼミ ありえない虫」丸山宗利著、幻冬舎

 世の中には、ほんとに奇抜な生き物がいる。その想像しがたい姿をした昆虫の代表がツノゼミである。「本書を通じて生き物の形の豊かさ、すなわち生物の多様性に一人でも多くの人が愛情と慈しみをもっていただければ、これ以上の喜びはない」と著者は書く。次々と出てくるその奇抜な姿に目を奪われる。まさに、「発想力豊かな芸術作品」のオンパレードである。「ツノゼミ」の体長は数ミリ、羽根や特異なツノの部分を入れると10mm前後という小昆虫である。よくもこんな小さな生き物を何十種も集めて写真に収めたものだ。
 こんな小さな生き物にもさまざまな〈戦略〉を持つものもいる。見たところヤマオオアリかと思うような、アリそっくりのもの、腹に黄色のすじをつけたドロバチそっくりのもの、バラのトゲトゲを背負ったようなもの等々、次々と珍種が登場する。
 熱帯の地をさまよい、こんなミクロな昆虫を追い求めている研究者がいることも驚きである。

 お薦め度:★★★  対象:珍虫に関心のある大人

【萩野哲 20110822】
●「ツノゼミ ありえない虫」丸山宗利著、幻冬舎

 動物の中で最も多様性が高い昆虫の中には驚嘆すべき擬態を示すものも多く、その進化の事実を受け入れるにはある種の覚悟に似た感覚が必要である。それがツノゼミに至ると、副題にあるように、“ありえない”と表現されることになる。前胸がそれこそありえない形に変形しており、何のための変形なのか、適者生存に当てはまるのか、頭を悩ませる群の代表となっている。著者は留学中に思いがけずツノゼミに出会い、驚き、愛着し、そして情熱を持つに至った。本書の写真は著者が集めた標本を深度合成法で撮影され、極めて鮮明である。実物大の写真も、奇抜度指数も併記されており、これを読んだ(見た)者から新たな信者が現れるかも・・・。

 お薦め度:★★★  対象:変わった生物が好きな人や癒しが必要な人など

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