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本の紹介「宇宙137億年のなかの地球史」
「宇宙137億年のなかの地球史」川上紳一著、PHPサイエンス・ワールド新書、2011年3月、ISBN978-4-569-79653-6、1000円+税
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【西村寿雄 20130221】【公開用】
●「宇宙137億年のなかの地球史」川上紳一著、PHPサイエンス・ワールド新書
新書のわりには内容が多い。興味のあるところを読めば気分良く読める。まずは宇宙人はいるのかの問題、「生命はどこからやってきたのか」をさぐりながら、生命の元は宇宙にあることに言及。地球は〈奇跡の惑星〉とのこと。第2章からしばらくは、宇宙の起源などに興味のある人にまかせて少し読み飛ばすといい。第7章「太陽系の物質科学」には今話題の隕石の話があり興味深い。8章は「太陽系グランドツァー」で、近年の惑星についての知識が手際よく得られる。9章「地球史を旅する」も楽しい。日本にもいくつかの地球史ポイントはあるものの、やはりオーストラリアがだんとつに多い。ストロマトライトや縞状鉄鉱床などが目白押し。岐阜県の金華山近くにある生物大量絶滅事件を証拠づけるチャートの層は世界に誇る地球史のポイントらしい。いつか行って見よう。地球史をめぐる世界の旅も楽しい。
お薦め度:★★★ 対象:地球や宇宙に興味のある人
【中条武司 20130626】
●「宇宙137億年のなかの地球史」川上紳一著、PHPサイエンス・ワールド新書
宇宙の歴史137億年を考えると、地球の歴史46億年なんてごく最近の話になってしまう。宇宙の誕生から地球の姿を紐解こうという本書。内容のほとんどが宇宙創成から太陽系形成に割かれている。天文学の成果をわかりやすい文体で、丁寧に説明している。しかし著者の専門である地球史学が書かれている9章だけは、私もここに行ってみたいと感じさせる生き生きとした文章を感じられる。教育学部所属の著者が学生にわかりやすい宇宙誌の本が書きたかったのだろうなあと思うのだけど、大半が新書形式で書いた教科書のようなイメージ。
お薦め度:★★ 対象:宇宙の歴史を学びたい人
【村山涼二 20130216】
●「宇宙137億年のなかの地球史」川上紳一著、PHPサイエンス・ワールド新書
137億年前のビッグバンに始まる宇宙の歴史から、地球の46億年の歴史を、美しいカラー写真での銀河旅行、太陽系グランドツアーで楽しめる。最近の火星探査の写真もある。宇宙人はいるのだろうか?地球外生命は存在するのか?宇宙の広さは?若い星、年老いた星。太陽系の起源から惑星の形成、地球の誕生と月の誕生まで。太陽系の起源を探るための隕石の重要性。地球史の旅では、最古の岩石を求め、生物の歴史に関係のあるストロマトライトについて。6億5千年前の全地球凍結(スノーボールアース)と関わるキャップカーボネート、氷河堆積物の写真もある。最先端の研究者として現地での調査に関わり、現時点での結論に至る過程が、過去の諸説、反論の克服を含めて説明されている。教育学部の先生として、中学生、高校生への出前授業も考えにあるためか分かりやすい。
お薦め度:★★★★ 対象:宇宙や地球に興味ある中・高生、広く一般の方
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