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本の紹介「海と川が生んだたからもの」

「海と川が生んだたからもの」堀内孝文・写真・牧野伊三夫絵、福音館書店かがくのとも2021年3月号、400円+税


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【西村寿雄 20210621】
●「海と川が生んだたからもの」堀内孝文・写真・牧野伊三夫絵、福音館書店かがくのとも2021年3月号

 東北・宮城県にある北上川が舞台である。河口にはヨシ原が茂る広大な群生地があった。秋になると一面に小麦色の景色が広がる。ヨシ原に棲むたくさんの小鳥や昆虫類もいた。魚介類も多くシジミ採りの船も出入りした。何といっても刈り取られたヨシは、昔からかやぶき屋根の材料になっていた。そんなある日、ヨシ原は大地震と大きな津波に見舞われた。建物はこわれ、橋は流され、田んぼに漁船が横たわった。2011年3月11日の東北地方大震災である。ヨシ原はいっぺんに瓦礫の浜になった。地盤沈下でヨシ原は消えた。その後、少しずつみんなの努力でそのヨシ原が7割まで回復した。それまでの努力の跡が書かれている。〈ヨシ原の再生にかけた人々の懸命な努力と、自然のたくましい回復力〉に著者は感動する。

 お薦め度:★★★  対象:自然回復に興味のある人
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