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本の紹介「ウンチ化石学入門」

「ウンチ化石学入門」泉賢太郎著、集英社インターナショナル新書、2021年4月、ISBN978-4-7976-8070-6、800円+税


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【中条武司 20211216】【公開用】
●「ウンチ化石学入門」泉賢太郎著、集英社インターナショナル新書

 生痕化石を研究する著者が、ウンチの化石を見たらいろいろわかるよ〜と主張する一冊。著者の専門の海棲無脊椎動物の生痕化石を中心にしているけど、恐竜のウンチの話やら動物園の動物とウンチサイズについての調査やら様々な内容を取りそろえている。糞化石の中には化石が保存されやすいとか、ゴカイの腸内で粘土鉱物が新たに作られるなど、興味深い内容も織り交ぜられている。通常の体化石の研究に比べて地味だ研究が少ないだという嘆き(?)を交えつつも、著者自身は楽しく研究をしている感が伝わってくる。とはいえ、連載記事の書籍化のせいか、全体的に内容の掘り下げが少ない。もうちょっと突っ込んだ内容が欲しかった。

 お薦め度:★★★  対象:中学生以上の地学好きなら
【冨永則子 20210827】
●「ウンチ化石学入門」泉賢太郎著、集英社インターナショナル新書

 生痕化石とは、太古の生物の足跡、這い痕、巣穴、糞などの化石のことをいい、地層中に保存された古生物の行動の痕跡である。著者の専門は糞=ウンチの化石、それも海棲無脊椎動物のウンチの化石を専門にしている。地味なウンチ化石の中でも更に地味な方らしい。とはいえ、ウンチ化石の中には、筋肉など化石として残りにくい軟組織やバクテリアのような極めて分解され易いものまでしっかりと残され、良質な化石保存場所として機能している。メジャーな体化石にはない地味な生痕化石の魅力の一端でもある。そんな生痕化石について、研究者について、また、身近で感じる事のできる生痕学について、新書版の中にギュッと詰め込まれている。

 お薦め度:★★★★  対象:恐竜化石ハンターを化石研究者と思っている人に
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