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本の紹介「魚附林の地球環境学」

「魚附林の地球環境学 親潮・オホーツク海を育むアムール川」白岩孝行著、昭和堂、2011年4月、ISBN978-4-8122-1118-2、2300円+税


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【中条武司 20110826】【公開用】
●「魚附林の地球環境学」白岩孝行著、昭和堂

 地球上の海の中でもひときわ生物生産力の高いオホーツク海。日本・ロシア・中国が共同した大規模なプロジェクト研究により、アムール川流域の森林と湿地から流れ出す大量の栄養塩と鉄、海氷(流氷)の存在、栄養塩と鉄に富んだ中層水、潮流による撹拌など、様々な条件が重なり合って豊かな海を作り上げていっていることがわかる。そして栄養塩と鉄を供給するアムール川が、人間の開発によって将来変貌し、その豊かな海が未来まで続かない可能性まで言及されている。海と陸とは分かちがたい関係にあることを示すだけでなく、上記の国々にモンゴルを含めた国際的なコンソーシアムの実現までこぎ着けたプロジェクトの道のりを記した熱い本である。

 お薦め度:★★★  対象:これからの地球環境を考えたい人

【萩野哲 20110822】
●「魚附林の地球環境学」白岩孝行著、昭和堂

 漁師は、海の魚が豊富なことになぜ陸の森林が必要なのか、その理由はよくわからなかったものの、経験的に森林があると海の魚が豊富になることを知っていた。最近の知見によりそのカギが陸域からの“鉄”の供給であることが理論的に証明されてきた。更に、もっとはるかに巨大な規模の魚附林として、アムール川流域を対象にした研究が行われた。なぜ、東部太平洋赤道域や南極海や北太平洋亜寒帯域の生産量が小さいのに、オホーツク海の生産量は大きいのか? 本書は、ひと昔前ではあり得なかった日ロ中プロジェクトの記録である。

 お薦め度:★★★  対象:“陸“と”海“との関連に興味を持ってほしい全ての人

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