【上田梨紗 20180222】【公開用】
●「わが家は、野生動物診療所」竹田津実文・あかしのぶこ絵、福音館書店たくさんのふしぎ2013年4月号
日本にいる野生動物は「誰のものでもない」無主物のため5種類の法律で守られている。申請しないと獣医師でさへ法律違反になるため診療できない。助けてあげたいと思って保護したら、誘拐犯扱いなどなど。...とかくこの世は住みにくい!
動物保護の観点からは、大事なことだとはわかるけども、人間ってややこしい。野生動物達への優しさ、助けたいという気持ちから試行錯誤したり、学んだりする一方で、生活のため駆除するしかないなど、ややこしい上に、複雑な人間たち。何回読んでも、涙が出てくるのをこらえるのに必死です。善行といえども、積極的にしていいものかどうか、野生動物と共存する上で考えさせられる1冊です。
お薦め度:★★★★ 対象:人間
【ケンタロウ 20180211】
●「わが家は、野生動物診療所」竹田津実文・あかしのぶこ絵、福音館書店たくさんのふしぎ2013年4月号
竹田津先生は、はじめは北海度のかちくのおいしゃさんでした。40年ほど前に小学生の兄弟が、一羽のとべないトビをつれてきたことが、すべてのはじまりでした。
日本のほうりつでは、野生動物は「むしゅぶつである」ときめられていて、勝手にしいくすることはもちろん、たとえケガや病気でも勝手にちりょうすることもいけないことでした。でも、ここに出てくる竹田津先生は、子どもたちの生き物にたいするやさしい気持ちにこたえようとしました。
そして、気がつけば、キツネやカワセミ、カモなどの野生動物がつぎからつぎへと運びこまれるようになっていました。そしてついに、竹田津先生は、森の中に、しんりょうしょまでたててしまいました。
先生の心はあたたかくて、広いな。
お薦め度:★★★★ 対象:野生動物しんりょうしょのことにきょうみがある人
【和田岳 20180215】
●「わが家は、野生動物診療所」竹田津実文・あかしのぶこ絵、福音館書店たくさんのふしぎ2013年4月号
北海道在住の獣医で、北海道の野生動物についての多数の著作がある著者の原点の一つ、といっていい話だろうか。子どもたちが飛べないトビを持ち込んだことに始まり、キツネ、カワセミ、カルガモとさまざまな動物の子どもが持ち込まれ、おのずと野生動物診療所となっていく。そして、リハビリテーションセンターとして森の中に「森の診療所」を建てるところで終わる。いわばプロローグのようなストーリー。
どちらかと言えば、後ろについてる付録「ふしぎ新聞」にある話の方が印象的。持ち込まれた43羽ものコムクドリが全部死んでしまい、それをきっかけに減農薬の運動を始める。「私のような獣医師が千人いるより、1パーセントの農薬を減らすほうが野生動物にとってはずっと生存率が高いとわかったからです」。この話を絵本にした方がよかったかも。
お薦め度:★★ 対象:保護された野生動物への対応を考えてみたい人