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本の紹介「わたしたちのカメムシずかん」
「わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話」鈴木海花文・はたこうしろう絵、福音館書店、2020年5月、ISBN978-4-8340-8552-5、1300円+税
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【和田岳 20210622】【公開用】
●「わたしたちのカメムシずかん」鈴木海花文・はたこうしろう絵、福音館書店
岩手県葛巻町の全校児童29人の小さな小学校。毎年秋になると、カメムシがたくさん校舎に入ってきて掃除が大変。カメムシは臭いし、農作物に被害を出すし、掃除も大変なやっかいもの。でも、校長先生の発案で、身近に見つかるカメムシの名前調べをはじめ、見つけたカメムシの写真と名前と実物を廊下に張り出し始めると…。
名前を調べ始めるとカメムシが気になりだし、新たな種を見つけたくなり、どんどんカメムシに興味が湧いてくる。次々と見つかる新たな種の発見エピソードと共に、子ども達が盛り上がる雰囲気が伝わってくるのがいい。
虫嫌いだった子どもが、カメムシ調べをきっかけに虫に興味をもっていく。自然史博物館の一つの目標でもある。
お薦め度:★★★★ 対象:虫嫌いをなおす方法を知りたければ
【冨永則子 20210623】
●「わたしたちのカメムシずかん」鈴木海花文・はたこうしろう絵、福音館書店
岩手県葛巻町は山あいの小さな町。この地方では、毎年秋が深まる11月頃になると越冬のために沢山のカメムシが室内に入り込み、春4月中旬を過ぎて暖かくなると外に出て活動を再開する。その頃になると小学校では毎朝のカメムシ掃除から始まる。そんな集められたカメムシを見ていた校長先生は、色んな種類のカメムシがいることに気づき、名前を調べようと子どもたちに呼びかけることからお話が始まる。はじめは戸惑っていた子どもたちも図鑑を見ながら、その名前を調べることで、どんどん興味を持っていく。そして、集められたカメムシの記録を自分たちの図鑑に作り上げる。校長先生は、ただ「図鑑」にまとめるだけでなく、ちゃんと専門家に正確性を判断してもらい、そして、いち早く専門家がそれに対応して特別授業まで行った。子どもの知識欲、知ろうとする気持ちを育てるのは、やはり周囲のオトナがどう対応するかが重要だ。小さな芽を摘まず、その芽を伸ばせるオトナになりたいものだ。
本書は2016年11月号「たくさんのふしぎ」のハードカバー版。2021年度青少年読書感想文全国コンクール小学校中学年の課題図書になっている。
お薦め度:★★★ 対象:知ろうとする事の大切さ、楽しさに気づく
【西村寿雄 20210621】
●「わたしたちのカメムシずかん」鈴木海花文・はたこうしろう絵、福音館書店
ふだんは人に嫌がられるカメムシ。ある小学校で掃除をしていた子どもたちが塵取りにカメムシをいっぱい集めて近くにいた校長先生に見せた。すると校長先生は「カメムシと言っても、いろんな種類がいるのね。」と言ったことから、子どもたちはカメムシにがぜん興味を持ち始めた。そして廊下の壁には新しいカメムシがどんどん張り出されていく。草むらのカメムシも集められる。また子どもたちは図鑑を見て「カメムシ研究」にはまっていく。そしてついに自分たちの「カメムシ図鑑」発行までこぎつけた。小さな小学校で起きた、子どもと校長先生との楽しい触れ合いが楽しく描かれている。
お薦め度:★★★ 対象:虫に興味のある子ども
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