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本の紹介「野鳥売買メジロたちの悲劇」
「野鳥売買メジロたちの悲劇」遠藤公男著、講談社+α新書、2002年11月、ISBN4-06-272163-5、800円+税
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【中条武司 20060214】【公開用】
●「野鳥売買メジロたちの悲劇」遠藤公男著、講談社+α新書
私たちの身近で野鳥は飼われていないでしょうか。その鳥たちはどのような運命をたどって飼われているのでしょうか。カゴの中の鳥たちが、山野で捕らえられて、どのようなルートで売買され、飼われた末にどのような末路をたどるのか、著者は「ドン・キホーテ」となって現場に向かう。そしてわかってくる様々な野鳥売買のからくり。
何十万羽という「雄だけ」の小鳥たちが捕らえられ、愛玩という名で高値で取引される。自然保護や動物愛護という観点からだけでなく、自然に対する人間のエゴがかいま見られる本書の内容に言葉を失う。尻切れトンボの印象がある結末は、鳥たちを開放する戦いがまだ続いていることの表れだろうか。
お薦め度:★★★ 対象:高校生以上、本当の自然を愛する人に
【萩野哲 20060208】
●「野鳥売買メジロたちの悲劇」遠藤公男著、講談社+α新書
カゴの中で飼われている野鳥売買のカラクリを著者が自分の足で調べた実録。本書のタイトルにもなっている代表種のメジロに限ると、日本では1947年にカスミ網が禁止されているのにもかかわらず、本書の舞台になっている80、90年代でも使用者は多かったようで、日本産の個体がたくさん売られており、鳴き合わせ会に持ち込まれた全ての個体が日本産であったことが記されている。一方、中国ではカゴ罠等で大量に捕獲されており、香港ルートで日本に入ってきたことが著者の努力で明らかになった。最もひどいと感じたのは、禁止されている国内産のメジロを中国産と偽って売買していることで、輸入許可証を得るために、中国産を輸入し、本体はゴミ箱行きで許可証のみを売るような二重犯罪が横行していたことである。ようやく最後のほうになって、中国でも取締りの強化の効果が現れ始め、日本でも「鳥獣保護および狩猟の適正化に関する法律」が成立し、「違法に捕獲または輸入した鳥獣の飼養、譲渡等の禁止」が条文化したことに触れられおり、やっとこの分野に光が射してきたことが記されているが、最近はどのような状況なのか、気になるところである。宝塚市にある私達の会社ではそろそろサザンカの花が咲き始めており、暖かい日にその垣根からかすかな鳴き声が聞こえてくる。多いときには、目白押しとまでいかないが10羽ほどのメジロが垣根を出入りしているところをほんの5mほどの距離で見ることができる。いつまでもこのように身近に小鳥達を見ることのできる環境を残したいものである。
お薦め度:★★★★ 対象:生物保全に関心がある人
【和田岳 20060207】
●「野鳥売買メジロたちの悲劇」遠藤公男著、講談社+α新書
「ツグミたちの荒野」でかすみ網による野鳥の乱獲の問題を訴えた著者が、今度は野鳥飼育そしてそのための輸入の問題に取り組んだ本。日本の鳥獣保護法の抜け穴になっている輸入証明書の問題を提起し、話の舞台は香港から中国に移る。著者が単身中国に渡って見聞した野鳥売買の事実を紹介。そして再び話は日本に戻り。メジロ売買のカラクリが紹介される。
最初は、野鳥飼育を全面的に否定する著者の文章に反感を覚える人もいるだろう。しかし、読みすすめていく内に、中国での野鳥売買の実態、日本でのメジロ密猟のからくりをしる内に、むしろ著者の文章は驚くほど押さえた筆致であることがわかる。そこには、多少なりとも鳥が、あるいは野生動物が好きなら、生物多様性に関心があるなら、目を覆うばかりの事実がでてくる。同じ種の雄を数万羽の単位で毎年捕獲しているとは…。
鳥たちの悲劇は、改善に向かいつつある。しかし、日本は今度は海外のクワガタムシ・カブトムシに同じような悲劇を生んでいる。日本がこれ以上海外の生物の絶滅の原因にならないようにしてほしいと願わずにはいられない。
お薦め度:★★★★ 対象:野鳥または生物多様性に多少でも関心のある人
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