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本の紹介「山はどうしてできるのか」

「山はどうしてできるのか  ダイナミックな地球科学入門」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス、2012年1月、ISBN978-4-06-257756-4、880円+税


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【中条武司 20130626】【公開用】
●「山はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 海洋地質学が専門の著者が、なぜか山をテーマにした本を出版した。でも山といっても私たちがイメージする山だけでなく、海底にそびえる大火山、軽い岩石でできたから浮き上がってできた海山など、海洋を専門としている著者の本領発揮な内容。プレートやプリュームなど地質学の基本原理を説明しつつ、山をいうテーマに絞って地球の成り立ちを説明するということに成功している。なんで山って高いのかなという素朴な疑問にすべては答えるわけじゃないけど、山に登ったときに地球の成り立ちと山とのつながりを感じさせるきっかけになるかもしれない。

 お薦め度:★★★★  対象:地球の成り立ちと山に興味のある人

【西村寿雄 20130617】
●「山はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 この本では、まず「山」について視点を明確にした上で地球史を取り上げている。この本のテーマは、いわば「地球の成り立ち」と深くかかわっているからだ。「水成論から火成論」へ、「地球収縮説、地向斜造山論」へ、そして「大陸移動説からプレートテクトニクス」へと変遷してきた地質学者の地球観は、これはこれでなかなか興味のある話である。
 そして、「山はどうしてできるのか」の本題に入る。断層によるもの、プレート同士の衝突によるもの、火山によるもの、花崗岩の上昇によるものなど、山のでき方もさまざまである。最後に「大陸も地球も(日本列島も)より大きな規模でみれば寄せ集めの〈さざれ石〉」とまとめている点がおもしろい。〈山はどうしてできるのか〉を通じて、地球の中身が楽しめる本である。

 お薦め度:★★★★  対象:地球ずき、山ずき、高校生以上

【萩野哲 20130628】
●「山はどうしてできるのか」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 山のでき方を非常に丁寧に解説した書。単に山のでき方を説明するだけでなく、山の高さはどのように決められているのか、過去に山はどのようにできると考えられてきたか、をまずとりあげている。そして、通常の本では一章、二章・・・とするところを、一合目、二合目・・・と、まるで登山でもしているかのように読み続けていけるような、呼んで面白い工夫を随所に示している。八合目で山のでき方についての解説は終わるが、
更に日本の山の成り立ちや、まとめとして山の輪廻についても言及している。一言でいうと、山のでき方はプレートテクトニクスとプルームテクトニクスによって説明できる。山脈がプレートの移動でできてゆくのは何となく理解できていたが、火山のなりたちもそれで説明できることを知っただけでも、本書を読んだ価値があったと思う。

 お薦め度:★★★  対象:壮大な地球の歴史を畏敬をもって俯瞰したい人

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