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本の紹介「山に木を植えました」

「山に木を植えました」スギヤマカナヨ著、講談社、2008年5月、ISBN978-4-06-214665-4、1300円+税


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【西村寿雄 20081227】【公開用】
●「山に木を植えました」スギヤマカナヨ著、講談社

 ある日、カキ養殖には、海水中の鉄分(フルボ酸鉄)が大きな役割をはたしているということがわかってきた。そこで、漁師さんたちが河川上流の森を〈広葉樹の森〉にするために植林を始めた。そのいきさつが絵本になった。
 本書では、漁師さんたちの植樹から、広葉樹の森が大きくなり、腐葉土が生まれ、森の生きものが元気になり、川の生きものも元気になり、海のプランクトンがよく育ち、魚たちも増えていく自然界の連鎖を、分かりやすい絵で描いている。難しい場面も原子論的なイメージでさらりと書いている。折り込みの工夫をしたり、重ね見できるページを作ったり、見やすい絵本である。

 お薦め度:★★★★  対象:子どもから大人まで

【六車恭子 20090424】
●「山に木を植えました」スギヤマカナヨ著、講談社

 「山に木を植えました」で感じた?、からはじまり、やがて「みんなみんな つながっている」ことをやさしく絵解きしている絵本だ。20年前気仙沼のカキ養殖をしている漁師さんがはじめた山に木を植える運動、「森は海の恋人」を合い言葉に展開されたその成果がシリーズで絵本化されておりその第3作目にあたるようだ。山の森でうまれた「フルボ酸」と「鉄」が川の水に運ばれて海の森をも豊かにするしくみを、丁寧な淡彩のイラストで紹介してゆく。キイワードはフルボ酸のようなので擬人化して「フルボさんのたび」というタイトルにした方が印象深かったかもしれません。山も海も水平に表現されており、少し違和感はありますが、著者の絵本作りへの挑戦は好感が持て、見開きの「フルボさんすごろく」は楽しめそうだ。

 お薦め度:★★★  対象:自然活動に目覚めた初心者に

【和田岳 20090226】
●「山に木を植えました」スギヤマカナヨ著、講談社

 山に木を植えました、で始まる。山に木を植えて、林ができると、そこにさまざまな動物が暮らす生態系が形成される。森から流れ出る河川の水には、フルボ酸鉄やいろいろな栄養分が混ざっていて、やがて海に到達。植物プランクトンに取り込まれ、動物プランクトンになり、小魚が食べ、大きな魚が食べ。その大きな魚が我々の食卓に並ぶ。そしてまた、山に木を植えました、でお終い。
 生き物と川が描かれるだけでなく、フルボ酸鉄や栄養分がキャラになって水の中を流れて行く。これが可愛い。

 お薦め度:★★  対象:山と海ってなんか関係があるの?と思う人

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