友の会読書サークルBooks

本の紹介「蘇るコウノトリ」

「蘇るコウノトリ 野生復帰から地域再生へ」菊地直樹著、東京大学出版会、2006年8月、ISBN4-13-063326-0、2800円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【早川友康 20061019】【公開用: →ぐだぐだしているの一文を付ける。】
●「蘇るコウノトリ」菊地直樹著、東京大学出版会

 コウノトリ放鳥から1年、一度絶滅した生き物を人里に放すという、かつてない取り組みが始まった。かつてコウノトリは地域住民から「ツル」と呼ばれ、日常の「害鳥」、「ただの鳥」、そして非日常のおめでたい「瑞鳥」として、状況に応じてあつかわれてきた。但馬の人々のコウノトリをめぐる聞き取りをもとに、人とコウノトリの共存のあり方を探る。

 お薦め度:★★  対象:人の生き物の関係に興味のある人

【和田岳 20061020】
●「蘇るコウノトリ」菊地直樹著、東京大学出版会

 環境社会学の研究者である著者が、兵庫県豊岡市のコウノトリの歴史と現状とともに、地元の人々によるコウノトリについての語りを聞き取った成果を紹介する。
 コウノトリの野生復帰というと、コウノトリを増やして放せばいいかというと、そうは簡単ではない。コウノトリが暮らしていけるドジョウやタニシが豊富な環境を再生しなくては放したコウノトリは生きていけない。そして、地域住民とコウノトリと共に暮らす環境づくりも大切。著者は、人とコウノトリの関係の再構築のために、かつての人とコウノトリとの係わりを、多くの人からの聞き取り調査によって明らかにしていく。
 それにしても、こうも多くの人が動き出すのかと思うと、コウノトリパワーには恐れ入らされる。他の生物ではなかなかこうはいかない。そういった意味では、同じような試みを他で試すのは難しそう。

 お薦め度:★★  対象:コウノトリに、野生動物の野生復帰に、そして環境社会学に興味のある人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]