【冨永則子 20180426】【公開用】
●「ざざ虫」松沢陽士著、フレーベル館
冷たい冬の川の中に棲むトビケラやカワゲラ、ヘビトンボの幼虫を総じて「ざざ虫」と呼ぶ。ザーザーと水が流れ、小波が立つ場所を「ざざ瀬」といい、そこに棲む虫だから「ざざ虫」。長野県の伊那谷では、ざざ虫を食べる文化があるが、年々、取り手も減少し、食べる人も減って、ざざ虫を食べる文化が消えようとしている。そこで給食に出したり、佃煮を作る小学校もあるそうだ。ざざ虫の佃煮を口に運ぶお姉ちゃんを後ろから見る妹の表情! わかるわぁ〜 そんな顔になるよねぇ。
お薦め度:★★★ 対象:何でも食べたい食いしん坊に
【中条武司 20180425】
●「ざざ虫」松沢陽士著、フレーベル館
川虫の旬が冬というのは知っていたけど、こんな取り方しているとは知らなかった。冬の寒い川の中でガラガラという音を立てながら、ツルハシで石を起こし、特製の鉄のかんじきで川底を踏む「虫踏み」で採られたざざ虫たちはとても貴重。小エビのような味がするのは昆虫全般に共通? お土産で売っている虫の佃煮はみんな佃煮味しかしないけど、この本を読むと赤黒くゆであがったざざ虫がおいしそうに見えてくる!?
お薦め度:★★★ 対象:地域の食文化に興味のある人
【和田岳 20180411】
●「ざざ虫」松沢陽士著、フレーベル館
雪が積もる中、じいちゃんが川床につるはしをふるい、大きな網を沈める。それを上げると大量のざざ虫。伊那谷ではこうして採れた川虫を全部ざざ虫と呼んで食べるらしい。ざざ虫漁のことを「虫踏み」という。じいちゃんの帽子には「虫踏許可証」の文字。つるはしで川底の石をひっくり返し、かんじきでひっくり返した石を踏むから虫踏み。石からはがれた虫が下流側の網に入るという仕組み。採ったざざ虫は、すぐに茹でる。茹でて赤紫色になったら食べ頃のざざ虫。佃煮にして食べる。なぜか蕎麦と一緒に? 伊那谷では、ざざ虫の佃煮が給食にも出るらしい。
ざざ虫自体は食べたことがあるけど、どうやって採るかは知らなかった。消えゆくざざ虫の文化を残そうという動きも含めて、貴重な食文化の記録。
お薦め度:★★★ 対象:日本の食文化や、虫を食べる習慣に興味があれば