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本の紹介「絶滅危惧の地味な虫たち」

「絶滅危惧の地味な虫たち 失われる自然を求めて」小松貴著、ちくま新書、2018年3月、ISBN978-4-480-07126-2、950円+税


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【森住奈穂 20180629】 【公開用】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 まさに偏愛。地味な虫への肩入れがすごい。小さくて地味な虫たちは、大きくて人気のある虫たちに比べておざなりにされている!人知れず絶滅の危機にひんする彼らに出会うため、日本中、昼夜を問わずヤブに分け入り、沼に浸かり、荒波をかぶり、塹壕を掘り、コウモリの糞まみれの洞窟を這いずる。こんなこと、虫マニアしかやらない。そうして実際に出会い観察することができた虫たちが、著者ならではの視点から紹介される。「素敵なる薄毛」メクラチビゴミムシ。「鬼の住処に住む者」チュウジョウムシ。「草原で祈る巫女」ウスバカミキリ。昆虫採集禁止条例が広がるなか、虫マニアが嫌われてはならぬとその心構えも説いている。曰く、なるべく虫採りに来たことを公言すること、現地の宿や公共交通機関を使うこと、その土地の農作物を買って食べる地産地消を励行すること。存在を知らなければ守りようもない。ゴーゴー虫マニア!

 お薦め度:★★★  対象:愛の深みを覗いてみたいひと

【上田梨紗 20180629】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 この本のタイトルや内容は、たしかに「虫」についての事が書かれている。だが読んでみて感じたのは、私たちの世界は平等などなく、優先順位や判断基準は勝手なナニかの基準で設けられているということ。それは人間として生きていくうえで、仕方のないこととは理解できても、納得はできないので、この本を読んだからには蚊だからといって殺すのは控えて、刺されない工夫をしようと思う。もしかしたら、蚊は人類を絶滅から救ってくれるかもしれないのだから!「苔の中の小さな乙女」は、臭いのかが気になる。

 お薦め度:★★★★  対象:昆虫に興味がある人、昆虫に興味がない人


【西本由佳 20180624】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 日本には推定10万種の昆虫がいるという。「三節の体に二本の触角、六本の脚と四枚の翅を渡されて、色や形の違うものを10万パターン作れと言われて成せる人間がいるだろうか」とある。多様性と一言で言うのは簡単だけど、そんな言葉で自然を言い表していながら、何もわかっていなかったんだなと思えるほど、この本で紹介される虫たちは、姿も生態も様々で、何かを究めている。こんなおもしろい生きものたちが、開発によって気付かないうちに姿を消しつつあるのは、ヒトにとっても大きな損失なのかなと思えた。

 お薦め度:★★★  対象:虫が嫌いでないけど特別好きでもないというくらいの人に


【萩野哲 20180514】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 一般の人はもちろん、(絶滅危惧種に選んだ人たちを除いた)専門家でも聞いたことがないような虫たちが”絶滅危惧種”に指定されている。しかし、それらの虫に保護の手が差し伸べられることはない。それらの虫たちの現状と危うい生活基盤の紹介が生々しい。それらの虫の中には、本当にアクセスの困難なものがいるのだということが、著者の尋常ならぬ捜索過程に示されているとともに、著者の捜索努力に頭が下がる。しかし、そのようにアクセス困難な虫たちも開発の波にはひとたまりもないのだ。地味な虫たちの解説に加え、4か所のコラムでは、それらの虫たちが知られないまま消えていくのではなく、ぜひともその存在を知ってほしいとの著者の本音が語られる。この本を買って読んで、虫たちを知るとともに、著者が収益の一部を自然保護団体に寄付するのに貢献しよう。

 お薦め度:★★★  対象:虫好きの人、自然保護について真剣に考えている人

【萩野哲 20180425】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 一般の人はもちろん、専門家でも聞いたことがないような虫たちが”絶滅危惧種”に指定されている。しかし、それらの虫に保護の手が差し伸べられることはない。それらの虫たちの現状と危うい生活基盤の紹介が生々しい。更に、4か所のコラムでは、それらの虫たちが知られないまま消えていくのではなく、ぜひともその存在を知ってほしいとの著者の本音が語られる。この本を買って読んで、虫たちを知るとともに、著者が収益の一部を自然保護団体に寄付するのに貢献しよう。

 お薦め度:  対象:


【六車恭子 20180629】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 地味な体裁の本!手にしたあなたは幸運です!ここにリストアップされた虫たちの未来はないかもしれません。しかしこれほどのたぐいまれなる熱意と愛のそそがれた虫追跡本はありません。かって昆虫採集にあけくれた方、これから野歩きをしてみたい方、類を見ない手引書になるでしょう! 擬人化された虫の名付けようひとつに著者のなが〜い観察歴と愛があふれています!昆虫採集の最後に行き着くのが、ここに納められた地味な虫たちなのかもしれません!

 お薦め度:★★★★  対象:この虫にもう会えないかもしれない危機を感じているあなた!
【和田岳 20180628】
●「絶滅危惧の地味な虫たち」小松貴著、ちくま新書

 2〜5ページ程度の短い文章で、希少で地味なさまざまな虫たちとの出会いが綴られていく。甲虫20種、鱗翅類2種、双翅類9種、半翅類11種、膜翅類13種、直翅類6種、クモ9種、ザトウムシ5種、ヤスデ1種、ワラジムシ1種。とにかく沢山の希少な虫の物語を堪能できる。
 昔はたくさんいたのに、今はすっかり少なくなってしまった虫たち。極めて局所的な限られた場所にしか生息していないのに、その生息場所にも開発の危機が迫っている虫たち。ほとんど知られていない虫たちとの出会いのストーリーは、とても興味深い。同時にほとんど知られないままに姿を消していく虫を残念に思う著者の気持ちもよく伝わってくる。
 著者はこの本の収益の一部を、虫の保護に役立ててくれるところに寄付を考えているらしい。でも、著者がわずかな金をどこかに寄付するよりも、この手の本をじゃんじゃん書いて、普及していく方がより有効だと思うぞ。

 お薦め度:★★★★  対象:生物多様性に関心のある人、あるいは生き物に優しい気持ちを持ってる人
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