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本の紹介「図鑑 日本のむかで」

「「図鑑 日本のむかで」奥山風太郎著、太田出版、2023年7月、ISBN978-4-8299-9018-6、2200円+税


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【森住奈穂 20231026】【公開用】
●「図鑑 日本のむかで」奥山風太郎著、太田出版

 嫌われ者のムカデだけれど、よく見るととてもかっこいい。鋭い牙、機動的なたくさんの足、そして本書を見ると色や大きさの異なるさまざまな種がいることに驚く。種の違いは素人の私にはさっぱりわからないけれど、美しい姿は眺めていて楽しい。ただ、衆人の前(電車とか)では開けられず、ひとりでこっそり、うっとり、後ろから肩をたたかれれば飛び上がるような、どこか後ろめたい、妖しい魅力が全頁から溢れ出ている。マニアックなものから一般向けまで、コラムも豊富に掲載されており、読み物としても楽しめる。

 お薦め度:★★★★  対象:暗いすみっこが好きなひと
【里井敬 20231026】
●「図鑑 日本のむかで」奥山風太郎著、太田出版

 頭の下に多くの脚のついた体がある。どれもそっくりに見えるけど、目だけで5つ(日本は4つ)、それぞれに多くの科が属している。世界で3000種、日本では150種あるらしいが研究が進めばもっと増えると思われる。ムカデの採り方・飼い方も載っている。毒があり噛まれると痛いが、見かけたら観察してみようかと思う。

 お薦め度:★★★  対象:脚の多い動物が好きな人
【萩野哲 20230918】
●「図鑑 日本のむかで」奥山風太郎著、太田出版

 この本を最初に手に取った時、そのカバーの図柄が祝い水引風になっていることに気付く。ムカデはかつて招福虫だった。毘沙門天などの御眷属であったことも「むかであれこれ」に解説されている。外観が同じように見えるムカデ(唇脚綱)は5目に分けられ、顎肢があることが共通の特徴である。本書には未記載種を含め約100種のムカデが載っているが、まだまだ未知の種がたくさん存在するようだ。本当に100本足のムカデは存在しない!? 知りたかった“噛まれたらどうなるか”について、著者はオオムカデ類のほぼ全種に噛まれたらしいが、“絶対に噛まれたくない”との発言がその疑問への回答だろう。また、ムカデの子育てに母性愛を感じない人はいないだろう。それにしても足と肢と脚の違いがますます分からなくなったのは私だけだろうか?

 お薦め度:★★★  対象:ムカデを身近に感じたい人
【和田岳 20231026】
●「図鑑 日本のむかで」奥山風太郎著、太田出版

 オオムカデ目20種(+未記載種4種)、ジムカデ目31種(+sp.とされている7種)、イシムカデ目25種(+sp.とされている4種)、ゲジ目(+sp.とされている2種)が美しい画像とともに紹介された図鑑。わざわざ掲載されている地域個体群もいろいろ。大阪でみる大きなムカデは、トビズムカデかアオズムカデで良さそう。その他も科くらいまでなら同定できそうな気がする。が、この図鑑ではたいていのムカデは種まで同定するのは難しい。ムカデ分類にはまだまだすることがある、ってことが判る一冊。  合間にムカデトピックがはさまり、後ろには、ムカデの採集や飼育の仕方の解説の他、ムカデが祀られている場所やムカデグッズも紹介される。ムカデ飼ったらけっこう可愛いかも。

 お薦め度:★★  対象:ムカデが気になる人
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