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本の紹介「メダカが消える日」

「メダカが消える日 自然の再生をめざして」小澤祥司著、岩波書店、2000年4月、ISBN4-00-002257-1、1600円+税


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【瀧端真理子 20031012】【公開用】
●「メダカが消える日」小澤祥司著、岩波書店

 メダカを切り口に、失われた水田生態系の保全と復元を提案する常識的な本。激減するメダカの生息地、メダカの生物学的説明、「土地改良事業」・農薬使用・乱開発への批判、「善意の放流」問題、 保全活動の事例紹介、「近自然」「多自然型」工法や都会人による「援農」、バーチャルネットワークによる現実ネットワークの再生、などなど一通りの問題と実践をそつなく紹介した啓蒙書と言える。啓蒙書としては良質、 啓蒙書以上のものを求める人には、物足りない、読み手の疑問を誘う本になるだろう。

 お薦め度:★★  対象:都会といなかの問題に興味のある人

【和田岳 20031025】【公開用】
●「メダカが消える日」小澤祥司著、岩波書店

 メダカを保護すると言えば、何をすると思いますか? 安易にしばしば行われているのは、メダカの放流です。それは本当のメダカの保護につながるんでしょうか? この本の著者は、メダカの減少の現状とその原因を解説した上で、あえて「メダカを保護してはいけない」と言います。その意味がわからない人はぜひ読んでみてください。
 かつてどこにでもいたメダカは日本中で急速に減少しています。その原因には農業の、そして農村の変化があります。その影響はメダカだけにとどまらず、日本の自然ほとんど全てに及んでいます。メダカを通じて、日本の自然環境について考えてみましょう。

 お薦め度:★★★★  対象:とくにメダカを保護しなくちゃ!と思う人

【寺島久雄 20031018】
●「メダカが消える日」小澤祥司著、岩波書店

 メダカが小川や水田にいた昔は、身のまわりにふんだんに自然環境があった。そこでの遊びがすなわち学びであった。両者は不可分に結びついていた。
 この数十年の間の水田での変化が、メダカを消した。寸断された生態系をもう一度再構築して、持続可能な環境へつくり直すことが、昔の自然環境を取り戻すことが、活動するきっかけとしてメダカの再生から始めたいと著者は熱く語っている。

 お薦め度:★★★  対象:自然環境に関心ある人に

【早川ひろみ 20031025】
●「メダカが消える日」小澤祥司著、岩波書店

 30年前まではありふれた存在だったメダカが今や環境省のレッドリストに載るまでに激減してしまった。一体どうしてそのようなことになってしまったのか?農薬の影響なのか、それとも年間一兆五千億円もの国費で進められている土地改良事業の影響なのか?現在の日本の農業における矛盾を指摘しつつ、メダカの保全をするのではなく、メダカを取り巻く里山の生態系全体を保全し再生する必要があると指摘している。メダカの進化の様子や生態等も書かれている。

 お薦め度:★★★★  対象:里山の環境やメダカに興味のある人


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