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本の紹介「分類思考の世界」
「分類思考の世界 なぜヒトは万物を「種」に分けるのか」三中信宏著、講談社現代新書、2009年9月、ISBN978-4-06-288014-5、840円+税
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【六車恭子 20100226】
●「分類思考の世界」三中信宏著、講談社現代新書
著者は「生物系統学」の研究者で、いわゆる分類学徒のように専門の生き物を追いかける日々からはほど遠いだろうか。「系統樹思考の世界」につぐ本書はウィリ・へニック学会の年次大会に参加し続けたここ10年来の著者の思念にとりついた、その「種」にまつわる問題に真っ向から挑んだ著者ならではの思考の回路が明文化された意欲作だ。
この世界を理解するには時空的な変化を切り取る「タテ思考(系統樹思考)」とある時空平面での「断面図」のパターンを論ずる「ヨコ思考(分類思考)」が要石である、とする著者がくりだす系統樹や家系図という「滅びしものたちの墓石譜」ともとれる生物学者たちの知的格闘史がある高みからのぞめる構造をしている。分類するは人の常・・・「分類する者」たちが魅力的に語られた、もう一つの遺跡めぐりともとれる書である。
お薦め度:★★★★ 対象:哲学的思考に興味を持つ人
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