例えばフィールドワーカーと呼ばれる人に、得意とする生き物について尋ねてみるとしよう。きっと、まるで親友か、自分の子供のように、その生きざまを語るに違いない。この本を開くと、ハヤブサを20年観察してきた著者のそんな一面に出会える。片目でも子育てに懸命な母ちゃん、育児よりも食事に夢中な親、お隣とケンカの絶えない後妻などなど、身近な人をみるようにハヤブサを愛情たっぷりに描く。本書を「科学的に書」けなかったと著者はいう。しかし、豊富で緻密な行動描写は、絶妙な写真とあいまって、おのずとハヤブサの生態学を成している。手に取れば、ご自慢のアルバムを前に雄弁を振うフィールドワーカーがあなたの目の前に。
お薦め度:★★★★ 対象:猛禽が好きな人、猛禽が好きな人とはいったいどんな人なのか知りたい人