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本の紹介「ほんとうの「食の安全」を考える」
「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想」畝山智香子著、化学同人、2009年11月、ISBN978-4-7598-1328-9、1600円+税
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【村山涼二 20100617】
●「ほんとうの「食の安全」を考える」畝山智香子著、化学同人
「食の安全」は科学的データで保証されるている。食品添加物の使用基準・食品への残留農薬基準値は一日許容摂取量(ADI:毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量)以下に設定される。基準に基づき食品添加物や農薬を使用された食品は安全である。天然自然のものも、多くの毒性物質を含んでおり、日常摂取量で、タマネギもジャガイモもADIを遙かに超えています。米国における食品の暴露量に対する発がん性リスク評価では、ビール、ワイン、コーヒー、リンゴなどはリスクの高い順位にあり、水道水、DDT,リンデンなどは2~3桁低いリスクが示されている。1960年代にサッカリンが発がん性で禁止されたが、尿量の少ないラットの雄の膀胱がんに限られ、22年間にわたるサルの実験で発がん性のないことが明らかになっている。天然のアカネ色素の発がん性が最近明らかになった。常に最新情報に注目が必要である。魚のメチル水銀は、妊婦を通じて胎児への悪影響を防ぐため、大型魚類の摂取について妊婦へ忠告しているが、一般の人には魚類の摂取は推奨が必要だ。普通の食品には色々のリスクがあるが多種類の食品を偏らず食べることによりリスクを分散し減少することが出来る。わずかなリスクを過大に評価し、食品の選択の自由がが減ると、摂取品種の平均化によるメリットや安全化が制限される。食品の健康強調表示については、米国もEUも慎重で、英国食品基準庁はオーガニック食品は通常食品と意味のある違いはないとの報告を出している。食の安全問題の背景にある科学をきちんと理解し、バランスのとれた食生活が大切だと述べている。
お薦め度:★★★★ 対象:無添加、無農薬がよいと信じている人
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