カビや微生物と共生する事で健康に生きることをすすめる本である。
「泥んこ遊びは健康のもと」「日本はカビの王国」「微生物は自然界のパイオニア」「動植物・人類は無数の微生物に守られている」等々常識を覆す文章に出会ふ。清潔志向の現代の日本人の生活は、自然を忘れ自然に背く暮らしをしている。カビや微生物がむしろ人間の健康生活を支えていると著者は提言している。
又日本のマンション、食品工場、病院が微生物に対する非衛生さにあきれている。
お薦め度:★★★ 対象:健康生活指向の人に
著者は、アルミニウムのカビによる腐食を明らかにした先駆者である。
先端産業において、シリコンウエハーやフロッピーディスクもカビの被害を受ける。生活関連では、食品、食品包装、洗濯機、風呂場、住宅、水虫などカビの被害を受ける。
一方、日本の伝統食品、酒、みそ、醤油はカビで作られ、微生物まで広げると、ビール、ワイン、納豆など我々の生活を豊かにしている。環境を汚染する化学物質の分解にも、カビの働きが期待されている。
青カビの作るペニシリンは多くの人命を救ったが、抗生物質や殺菌剤に対する耐性菌の出現は、安易な使用を戒め、上手なつきあいを勧めている。
カビの目線で暮らしを眺め、「結露の防止と通風」が有効で、日本の木造住宅の良さ、自然な暮らしを勧めている。
お薦め度:★★ 対象:広く一般に
近頃の抗菌ブームの中でひたすら目の敵にされがちなカビだが、長い歴史を通じていかにカビと人が共存し、カビが人の役に立ってきたかを紹介する本。
しかし、アルミニウムやプラスチックにまでカビが生えるだとか。カビ取りスプレーや抗菌グッズも役に立たないとか。一流食品メーカーの工場もカビだらけとか、清潔好きの多くの人にとっては、カビの脅威をいっそう強く感じるだけに終わるかもしれない。
カビ取りスプレーなど、カビを殺す薬剤は、悪いカビだけでなく、害のないカビまで殺してしまう。しかし一度はカビがいなくなったように見えても、その後かえって悪いカビがはびこり、それをなんとかするためには、薬剤を使い続けるしかない。この指摘は、カビとのつきあい方を考える上でとても重要だろう。
お薦め度:★★★ 対象:カビにそんなに神経質じゃない人