友の会読書サークルBooks

本の紹介「けもの道の歩き方」

「けもの道の歩き方 猟師が見つめる日本の自然」千松信也著、リトルモア、2015年9月、ISBN978-4-89815-417-5、900円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【西本由佳 20160220】
●「けもの道の歩き方」千松信也著、リトルモア

 猟というと、生きものを追いつめて殺すことを楽しむ特殊な趣味というイメージを持っていた。この本を読むと、実際の猟というのは、ただ鉄砲で一方的に動物を殺すものでないことがわかる。ヌタ場からイノシシの行動を追うとき、木にすりつけた泥、足跡、身ぶるいしたときの飛沫などから、1キロくらいは追跡が可能なこともあるそうだ。葉っぱ1枚から獲物の動きを読みとり、けもの道の「違和感を感じられるときは、自分も山の中で狙う獲物と同じ動物なんだと思えるときもある」という。生きものを殺すことについては、何を残酷だと思うかは人によって違うという。活け造り、マグロの解体実演、虫の命、「自分が違和感なく動物の命を奪える基準を各自がそれぞれ線引きしているだけだ」という。著者は自分の立ち位置を、特に気負うことなくもっている。それを読んだこちらが、自分の立ち位置について考えさせられる本だった。

 お薦め度:★★★  対象:猟を残酷だと思う人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]