【西村寿雄 20171220】
●「マンボウのひみつ」澤井悦郎著、岩波ジュニア新書
この本には、マンボウについてのくわしい解説と悪戦苦闘するマンボウ研究記が合わせて綴られている。初めには体のつくりのくわしい解説と系統的なマンボウの位置づけが書かれている。「V章マンボウの謎」からいよいよ著者のマンボウ研究歴の話が始まる。大学でマンボウ研究者になったとき運良く宮城県の漁船に乗りこみ巨体マンボウに遭遇して研究の熱が上がる。著者は「マンボウ」以外に別種として「ウシマンボウ」を命名する。そのことが魚類学雑誌などに載せられてウシマンボウの認知度は日本国中に広まった。仮説と検証をくりかえすマンボウ研究のおもしろさと苦労話を語る。バイオロギングなど新たな研究手法やマンボウと人がつむいできた歴史なども織り交ぜて楽しい読み物にしている。中高生以上向き。
お薦め度:★★★ 対象:生き物研究が好きな中学生から