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本の紹介「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」

「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」遠藤秀紀著、光文社新書、ISBN978-4-334-03549-5、2010年2月、820円+税


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【加納康嗣 20110223】
●「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」遠藤秀紀著、光文社新書

 解剖学者があまり解剖学に踏み込まずに、これほどまでにニワトリに思い入れをした面白い本を書くとは、意外な一面を発見した気がして楽しく読んだ。トウモロコシの作物化は大変だったと聞くが、原種セキショクヤケイも同様に喧嘩早く、執拗に巣を守ってコントロールがしにくいために家畜にするには厄介な動物らしい。特に肉量や繁殖数が多いわけではない。原種から様々の品種を作り出し、その究極として経済性と嗜好と食欲を満足させるために白色レグホンとブロイラーを作り出した8000年に及ぶ人類の心のエネルギー、そのすごさに着目して執拗に語る著者の熱情に感服する。ただ食べるだけのものと認識していた鶏を考えてみる良い機会になった。
 卵用鶏は、年間300卵、体重の9倍生み出し、生まれて160日以内に産卵を始め、700日までには廃棄される。肉用鶏は、3キロ台の半ばまで成長し、わずか50日で殺される。合理的生産の極みであるが、改めて考えるとすごいことである。

 お薦め度:★★★  対象:鶏に世話になっている人

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