友の会読書サークルBooks

本の紹介「進化論の何が問題か」

「進化論の何が問題か ドーキンスとグールドの論争」垂水雄二著、八坂書房、2012年5月、ISBN978-4-89694-995-7、1900円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【和田岳 20121025】
●「進化論の何が問題か」垂水雄二著、八坂書房

 一般的には、ドーキンスとグールドは対立してる事になってるらしい。ドーキンスとグールドの著作をちゃんと読めば、二人はまったくと言っていいほど対立していないことはすぐに分かる。両者の違いは、視点の違い、強調する場所の違い、タイムスケールの違い。二人を対立してると思い込んでる人は、本を読んでても理解できていない。
 著者は、ドーキンスの著作の多くを翻訳してきた編集者兼翻訳家。下手な研究者よりもよほど進化には詳しいし、下手なサイエンスライターよりもよほどサイエンスな文章はうまい。そんな著者がドーキンスとグールドを、その生い立ちから進化に対する立場、政治的な思想まで。科学的主張から宗教観まで。両者を比較しながら紹介した一冊。当然ながら、二人の主張に本質的な違いがないことを明らかにしてくれる。ドーキンスとグールドについて勘違いしている人にはお勧めの一冊。

 お薦め度:★★★★  対象:ドーキンスとグールドは対立してると思ってる人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]