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本の紹介「死を食べる」
「死を食べる」宮崎学著、偕成社、2002年3月、ISBN978-4-03-526220-6、1800円+税
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【西村寿夫 20091001】
●「死を食べる」宮崎学著、偕成社
いきなり、野生動物たちの交通事故死の写真が出る。イタチ、タヌキ、キツネ、カラスなどの無惨な姿。次の「死の時間を撮影する」では、キツネの死後の変化を時間を追って日毎に記録した写真が出てくる。やがて山のようにわき出るウジ虫、そしてそれを食べるハクビシン、もう目を覆いたくなるような写真の連続である。しかし、ここではたと気がつく。こういう生きものの死体も他の生きものの命をつないでいるということに。次に漁船から水揚げされたトロ箱いっぱいの魚,スーパーの刺身のパックも写る。こうなると死体というイメージはなくなる。「魚の死はめぐりめぐってぼくたちのお腹を満たしている」と著者は書く。
ここまでくると、一個体の死もけっしてむだにはなっていないことに気がつき、動物の死ということが冷静に考えられてくる。
お薦め度:★★★ 対象:小学高学年以上
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