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本の紹介「植物記」

「植物記」埴沙萠著、福音館書店、1993年4月、ISBN978-4-8340-1195-1、3300円+税


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【六車恭子 20130823】
●「植物記」埴沙萠著、福音館書店

 著者埴沙萠のふるさと大分での12ヶ月、植物たちが演じるはっとする瞬間をカメラで捉えた写真絵本だ。カメラアングルを定点にすえた一本のサクラの木の一年、棚田の季節をめぐる12枚の風景,ありふれた風景が転成してめぐる時間に出会える瞬間でもある。記録的な大霜で農作物が大打撃を受けたその春、山のフジも全滅しかけた。しかし一本の遅咲きのフジの花に「のろまなはみだしもの」を用意する自然の計らいに思いを深くする著者の姿がある。植物写真家・埴沙萠を育てたふるさと大分の自然がぎっしり詰まった一冊である。

 お薦め度:★★★★  対象:植物への愛?人間への愛?定かでなくなる瞬間を味わいたい人に

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