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本の紹介「地球進化 46億年の物語」
「地球進化 46億年の物語 「青い惑星」はいかにしてできたのか」ロバート・ヘイゼン著、講談社ブルーバックス、2014年5月、ISBN978-4-06-257865-3、1160円+税
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【中条武司 20140819】【公開用】
●「地球進化 46億年の物語」ロバート・ヘイゼン著、講談社ブルーバックス
地球の歴史は46億年と考えられているが、そのうちの40億年=そのほとんどの期間は、地球がどのように変貌してきたかを知るすべは少ない。しかし、その40億年には生命の誕生を始めとした、現在に至る地球の進化の有り様が隠されているはずである。本書は「地球進化46億年」とうたっているが、その大半が情報の少ないその40億年(冥王代、始生代、原生代)にテーマを絞っている。地球の歴史を語るこの手の本に多くふれられるであろう恐竜については3ページしか書かれていない。著者はそれよりも、生命の発生や鉱物と生物の共進化、地球化学的な手法を用いた初期生物の痕跡を探ることについて多くの紙面を費やす。また最終章では、未来の地球がどうなるかを50億年後から100年後までの起こりうることを示す。それは人間本位の目線ではなく、地球という視点から書かれたものだ。その証拠に著者は大規模な海面変動で起こるであろう事象についてこう言い放つ。「それは世界の終わりではない。私たちの世界が終わるだけだ」。
お薦め度:★★★ 対象:地球の進化と生命の発生に興味のある人
【西村寿雄 20140818】
●「地球進化 46億年の物語」ロバート・ヘイゼン著、講談社ブルーバックス
まさに、〈わくわくする地球進化〉の物語である。類書と同様に地球誕生から大衝突(月の誕生)、青い地球(海洋の形成)、灰色の地球(花崗岩の殻)、生きている地球(生命の起源)、白い地球(全球凍結)など、地球進化のドラマが次々と展開されていく。ここで、著者の大きな主張は「岩石圏と生物圏との共進化」にある。「地上に存在する大半の鉱物は、地球に生命体が生じ酸素が大量に生じた結果生まれた」と主張する。また、生物の進化には生体鉱物化や火山活動、大陸移動等が大きくかかわっている。今までの個別的な鉱物学、生物学への挑戦である。それだけに、岩石、鉱物の生成過程での元素についての記述が豊富で、地球を原子の目で見るのにも大いに役立つ。
お薦め度:★★★★ 対象:地球科学・生物進化に関心のある人
【萩野哲 20141021】
●「地球進化 46億年の物語」ロバート・ヘイゼン著、講談社ブルーバックス
地球の誕生から現在まで、過去46億年には様々な事件が起こり、長い時間停滞した時期もあったが、急激な変化を遂げた時期もある・・・どうしてそんな昔のことが分かったんだろうと、興味津々でひきつけられること請け合いである。本書の特徴として、「進化」と銘打っているのにこれほど生物の話が少ないこともめずらしいが、一方で「鉱物進化」という概念を紹会しており、鉱物と生物の世界は無関係ではなく、岩石圏と生物圏との関係は密接であり、生物による酸素の生成とそれに由来する鉱物の酸化によって多様化したという話は大変面白かった。未来までを考察した壮大な物語となっているが、ひとつ残念なのは大変図が少ないこと。もっと図があればより理解が容易になったのにと思う。
お薦め度:★★★ 対象:岩石圏を含めた壮大な進化の話を知りたい人
【六車恭子 20141024】
●「地球進化 46億年の物語」ロバート・ヘイゼン著、講談社ブルーバックス
本の体裁は地学系の地味な作り、しかしプロローグの一言が私を惹き付けた。「それは私たちが地球だからだ。」鉱物学のエキスパートである著者が岩石に刻まれた記録を調べるうちに、生物と無生物が織りなす共進化の驚きの発見を唯一無二方法でこの地球誌を読み解いていく。広大な宇宙の太陽系の一惑星「地球」の成り立ちを知る道程は有史以来の知の集積の上に新たなアイデアを盛り込んで鮮やかに印象づけた。第8章の「退屈な」10億年の章に著者がこめた鉱物の大変化が次の爆発的な進化の引き金となったのだ。
私たちの肉体の組成は岩石の組成と一致し、命を終えたその後は原子や分子となり、地球に戻りリサイクルされるのだ。地球学の一冊にぜひ一読を。
お薦め度:★★★★ 対象:理系女子でなくても是非
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